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数えることもいいけれど

私はMAMEHICOで働くまで、歌を教えたり、演奏会を企画したり、人前で歌ったり、長く音楽の仕事をしていました。

そんな私にとって、ライブやイベントを開催するとなれば、まず気になるのは「何人のお客さんが来てくれるだろうか」ということでした。

せっかく準備をしても、お客さんが集まらなければ意味がない。
満席になれば成功。空席が目立てば失敗。
ずっと、そんなふうに思ってきました。

MAMEHICO神戸を始めたときも、せっかく音楽ができる私たちがカフェをやるのだから、ライブをたくさん開催したいと考えていました。
ところが、これがなかなか難しかったのです。

数字ばかり気にしていた

チラシを作り、SNSで告知し、知り合いにもお客さんにも声をかける。
それでも、思うように予約が入らない。
演奏する人にも、来てくださるお客さんにも申し訳ない。
そんな気持ちばかりが募っていきました。

気がつけば、純粋に音楽を楽しむことよりも、「どうやって人を集めるか」ということばかり考えるようになっていました。

そんな日々のなかで、店長のしげちゃんと何度も話し合いました。
そして、ふと立ち止まったのです。
そもそも、わざわざ人を集めてライブをする必要があるんだろうか?

そこで始めたのが、毎朝9時の「モーニングライブ」です。
予約も参加費もいりません。
モーニングを食べに来たお客さんに、10分ほど歌とおしゃべりをお届けする。そんな試みでした。

とはいえ、最初は不安でいっぱいでした。
だって、お客さんは音楽を聴きに来たわけではありません。
ただ珈琲を飲みたいだけかもしれないし、静かに本を読みたいかもしれない。
そんなところに歌い出したら、迷惑なんじゃないか…。

なにはともあれ、やってみよう

ところが、実際にやってみると、これが驚くほどおもしろかったんです。

おすすめのメニューをご案内したり、モーニングに使う食材や作り方のこだわりをお話ししたり。
ときには、モーニングの提供を待っているお客さんに話しかけて、思いがけないお話を聞かせていただくこともあります。

先日、夢を語ってくれた若者がいました。
すると、近くの席にいた常連さんが、応援の気持ちを込めてMAMEHICOのマフィンをプレゼントしていたのです。
その場にいたお客さんは、4〜5人ほど。
でも、お店全体が何ともいえないあたたかい空気に包まれました。

大勢のお客さんを集めなくても、こんな時間が生まれるんだ。
目の前にたった一人でも聴いてくれる人がいて、その人がふっと笑ったり、元気になって帰ってくれたりする。
それだけでも、音楽をやる意味は十分にあるのだと思いました。

もちろん、イベントが満席になれば嬉しいし、経営を考えれば集客も大事です。
でも、「満席でなければ失敗だ」と思い込んで、自分をガチガチにしていたのは、ほかならぬ自分自身でした。
モーニングライブを続けるなかで、そんな思い込みが少しずつほどけていったのです。

今日も朝9時になったら、いつものように歌って、おしゃべりします。
さあ、今朝は何人のリスナーが聴いてくれるでしょうか?
……って、あぁ! また人数を数えてる!笑
懲りないなぁ。とほほ…。