桃寒天の寒天て?
みなさん、ごきげんよう。日野沙織です。
「MAMEHICOのやってること、やらないこと」。今日は、桃寒天パフェの話をします。
MAMEHICOでは、寒天を使った定番デザートにクロカンがあります。
寒天は、わたしたちにとって、すっかりなじみのある素材です。
そんな寒天を使って、夏のあいだ「桃寒天パフェ」をお出ししていました。
桃の季節に合わせた、夏のデザートです。
あるとき、ふと思いました。
「そういえば、寒天って、ちゃんと比べて考えたことがなかったな」
いつも使っているからこそ、わかったつもりになっている。
そこで今回は、あらためて寒天について考えてみることにしました。
3種類の食べ比べ
今回比べてみたのは、3種類。
寒天だけ。寒天+アガー。そして、ゼラチンだけ。
同じように液体を固めるものですが、実際に並べてみると、固まり方も、透明感も、口当たりも、ずいぶん違います。
まずは、寒天だけ。
寒天は、しっかり煮立てて、粉をきちんと溶かすことが大事です。
今回、こしてみると、小さな丸い粒が残っていました。
「あ、まだ溶けてなかったんだ」
いつも使っている寒天だけれど、こうしてあらためて作ってみると、ちゃんと扱わないといけない素材なんだなと気づきます。
できあがりは、三つの中でいちばんしっかりしていて、手で持てるくらい、ちゃんと固い。
一方で、少し白っぽく、透明感はあまりありません。
そして、寒天だけを食べてみると、「寒天の香り」がする。
普段は桃や黒蜜、アイスと一緒に食べているから、気づかなかった寒天そのものの個性です。
反対に、ゼラチンだけで作ると、とてもやわらかい。
「これ、ほんとうに固まってる!?」というくらい、ふるふるです。
手で持つのは、ちょっとこわいくらい。
でも、透明感は三つの中でいちばんきれい。
口に入れると、寒天とは違って、体温でほどけるように溶けていきます。
同じ「固める」ということでも、こんなに違うんだなと驚きました。
では、MAMEHICOで実際に使っている「寒天+アガー」はどうか。
食べてみると、これがちょうどいい。
寒天だけほどガチッと固くない。でも、ゼラチンほど頼りなくもない。
ほどよく形を保ちながら、透明感もある。
そして、寒天特有の香りも少しやわらいでいます。
「なるほど。だから、これなのか」
三つを比べてみて、いまのMAMEHICOの桃かんが、どうしてこの組み合わせになっているのかが、少し見えてきました。
素材には、それぞれの「主張」がある
でも、今回の実験で面白かったのは、食感だけではありませんでした。
「香り」のことを考え始めると、話がどんどん広がっていったのです。
寒天には、寒天の香りがある。
そこにアガーを加えると、その香りが少しやわらぐ。
さらにきび砂糖のシロップをかけると、シロップの香りが強いので、寒天の香りはあまり気にならなくなる。
そしてアイスを添えると、牛乳の香りやコクが加わって、急に全体がまとまる。
アイスって、ただ甘くて冷たいだけじゃないんですね。
ほかの素材をつないでくれるような役割もある。
ここで、改めて「桃って面白いな」と思いました。
マンゴーやバナナは、それだけでしっかり香りがあって、「私はマンゴーです」「私はバナナです」と主張してくる。
でも、桃はもっと繊細です。
だからこそ、黒蜜やアイス、寒天と合わせることで、いろいろな表情が生まれる。
素材には、それぞれの「主張」があって、強く主張するものもあれば、控えめなものもある。
その組み合わせによって、お互いを引き立てることもあれば、打ち消してしまうこともある。
「ちょうどいい」は、組み合わせで決まる
そう考えると、料理って、単純に「おいしい素材を集める」ということではないのかもしれません。
固さ、透明感、香り。どれかひとつが優れていればいいのではなく、何と合わせるのかまで考えて、はじめて「ちょうどいい」が決まってくる。
寒天だけなら、しっかり固まる。
ゼラチンなら、透明で、口の中で溶ける。
寒天+アガーなら、そのちょうど間にある。
三つを比べてみて、MAMEHICOの桃かんが今の形になっている理由が、少しわかった気がします。
いつも使っている素材も、あらためて比べてみる。
当たり前にやっていることを、いったん立ち止まって考えてみる。
そうすると、「どうして、こうしているんだろう?」の答えが、少しずつ見えてくる。
桃寒天パフェをきっかけに、寒天のことを考えていたはずが、いつの間にか桃のこと、アイスのこと、素材同士の組み合わせのことまで考えていました。
これだから、料理はおもしろい。
ひとつの素材をちょっと深掘りしてみるだけで、別のところにつながっていく。
桃かんの「観点」。なんだか、いい実験になりました。















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