最初のご挨拶を、そっと

こんにちは。MAMEHICO神戸・御影スタッフの池田さくらです。
初めてMAMEHICOを訪れるお客さまが席に着き、スタッフが歩み寄り、メニューやおしぼり、お冷をお持ちする。
その時間は、お店の「自己紹介」のようなものです。
なかでもお冷は、お客さまが最初に口にするもの。
グラスを手に取り、ひとくち。
さて、何を注文しようかなとメニューを開く。
その場面にふれるたび、井川さんの言葉を思い出します。
「お店では、すべてのことが表現になる」
たとえば、湯気の立つ珈琲カップ。
ただテーブルに出すのではなく、光の差す場所にそっと添える。
すると、揺らぐ蒸気がかすかに浮かび上がる。
ほとんどの人は、その美しさに気づかないかもしれない。
それでも、誰にでも、いつでも、そうする。
すぐに消えてしまう光景だとしても、やり続ける。
その積み重ねが、この場所をつくっているのだと。
お冷も、きっと同じです。
井川さんがニューヨークで見つけたという白いタンク。
氷水で満たし、朝のうちに定位置へと据える。
丁寧に拭き上げられ、整然と並ぶグラス。
そうした日々の仕事と、スタッフ一人ひとりの振る舞い。
21年前から繰り返してきた営みが、MAMEHICOの表現として重なっていきます。
ホールにいるみゆきさんは、お冷タンクの中身が少なくなると、キッチンに声をかけます。
「お水をピッチャー満タンにください」
「氷をざるにいっぱいください」
「ピッチャーにお水と氷を半々で」
その都度違うのは、気温やお客さまの雰囲気に合わせて、「ちょうどいい一杯」をお出しするため。
しほちゃんは、お冷グラスが足りなくならないよう、いつも目を配っています。
驚くような速さで洗い物を片付けていく彼女は、ときどき勢い余って割ってしまい、店長に叱られることもあるけれど。笑
テーブルのどこに置くと心地よいか。
手の位置、座る場所、お一人か複数人か。
花器のそばなら植物が目に留まるだろうか。
ライトの下なら、水面がきらりときれいに見えるだろうか。
ほんの一瞬のうちに、思いを巡らせます。
コトリと届けられる水。
私たちからの、最初のご挨拶です。
何かを受け取ってもらえたら、うれしく思います。
そして次は、あなたのお話も少し聞かせていただけたなら。
幸い、MAMEHICOは、自己紹介のきっかけには事欠かない場所ですから。

少しずつ手を入れながら、
続いてきた時間があります。
その一端を、感じていただけたらうれしいです。







