暑い日こそMAMEHICOでひと休み、いかがですか?

紫香邸は8/4〜9/2まで夏休みいただきます

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ルールチェンジ

昨日、15年ぶりに再会したお客さんがいたんです。「始めて続ける」というイベントにやってきた。会は進んで、その方が、自己紹介がてら、みんなの前でボクのことを持ち上げてくれましてね。「井川さんは神ですよ。後光が差している」なんて言うわけです。まわりはポカンとしてましたけど。

彼曰く。15年前、店ができた当初に、ずいぶんエッジのきいた店だな、と思った。それで面白がって、店主のボクに会ってみた。そしたら当のボクは、やろうとしていることを周りには理解されていなかったようで、ずいぶんと苦悩していた、というんですね。それが、久しぶりに来てみたら、井川さんは元気で、後光が差してるみたいだと。これはきっと、理解してくれるヒトが増えたんではないか、と言うわけです。

「いやいや、別に評価するヒトが増えてるわけでもないよ」と答えたボク。「それ、本人が気づいてないだけですよ、後光差してますもん」なんてやり取りがあって。こっちも鏡を見て、俺、後光差してんのかな、って思っちゃったりして。

そのあと考えて。これ「後光」の話じゃないなと思った。20年前と今と、ボクが言ってることはほとんど変わっていません。ただ、世の中の方が変わってきて、ボクの話に耳を傾けるヒトが増えてきた。それはたしかにそうです。

たとえば。スタッフの採用の仕方ひとつとってもそうです。コロナの前までは、求人誌に出して、その中から面接して採っていくというやり方をしていた。それが今はもう一切やっていません。ラジオを聞いたヒト、このブログを読んでくれてるヒト、イベントに参加したヒトが、「うちで働きたい」と言ってきて、そのまま面談してスタッフになっちゃうパターンがほぼすべて。あとは、お手伝いするわよと、買って出てくれるお客さんもいる。求人誌に出したところで来ないしな、というぼやきは、たしかになくなりました。求人広告というのは、雇う側が金を払って、働きたいヒトを募る仕組みです。それが要らなくなったというのは、雇用形態そのものが、変わってしまったということです。そういうことが、他にもいろいろ在る。

ルールチェンジがあちこちに起きているんでしょう。インターネットだ、AIだと、そういうわかりやすい変化ではなくて、気持ちの持ちようが変わってきたということ。

この国はずっと、椅子取りゲームで回ってきました。国から業界へ、大企業から下請けへ、本社から支店へ、お金が上から順に降りてくる。その流れのどこかに椅子を確保して、上の言うことを聞いて、まじめに勤めていれば、一生が成り立った。いい学校に入って、いい会社に入る。要するに、いい椅子を取りに行く、ということだったわけです。

ところが、その椅子が、当てにできなくなってしまった。企業経営者は、当然、安泰を求めます。ゆえに会社は、合併してどんどん大きくなっていく。3つあった会社が1つになったりする。会社は安定するかも知れないが、椅子は減ります。同じ立場のヒトが3人いたところが、1人でよくなってしまう。残りの2人は退場するか、だれか1人に従わなきゃいけなくなる。しかも、音楽が止まってから、椅子がないことに気づく。そこが椅子取りゲームの怖いところです。

ボクは、もとからこのゲームに参加していません。強い意志があったからというより、誰もボクに椅子を用意してくれなかった、というだけの話です。仕方ないので、21年、誰に頼まれるでもなく、自主企画自主制作で、その日のお客さんが払ってくれるコーヒー代だけで回してきました。上から降ってくるお金というものを、一度も浴びたことがない。だから、降らなくなっても、困りはしない。それだけのことです。

神戸・御影や紫香邸みたいな、住宅地に近いところのお店の方が、MAMEHICOの姿勢に賛同があります。逆に、大企業がひしめき合っている東京の方が、様子見の空気が漂っている。都会は、次のルールの登場を待って、キョロキョロしているように見える。

面白いのは、そのキョロキョロの目が、MAMEHICOにも向くことです。

ルールに乗らずに21年やってきた店がある、と聞きつけて、見に来るヒトがいます。話を聞かせてほしい、参考にしたい、これからはこういう生き方かもしれない、と。一見、理解者が増えたように見えます。ありがたい話にも聞こえます。

でも、よくよく話をすると、彼彼女たちがやっているのは、次のルール探しなんです。

MAMEHICOの生き方を、次に来る型のひとつとして、品定めをしにきている。いまはこういうのが来てるらしい、と情報として仕入れて、使えそうなら取り入れて、違うなと思えば、また次の候補を見に行く。共感しているのではなくて、試食しているとボクは思う。

コーヒーを一杯飲んで、うまければまた来る、まずければもう来ない。それと同じ手つきで、生き方や姿勢まで比べられている。商品を消費するのと同じように、姿勢が消費される。東京にいるとボクはそう感じる。

これは意地悪に言ってるんじゃなくて、それだけ空虚なんだと思う。

「天才よち丸ラジオ」のご視聴はこちら
MAMEHICO代表・井川さんのラジオです。
何気ない言葉の中に、ふと立ち止まるきっかけがあります。
ルールチェンジのただ中にある時の心構えとは?
ぜひ一度、耳を傾けてみてください。
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