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稼ぐということ

最近、Meet&Eatというのをやってましてね。今度は水ようかんを食べる会をやろうと思ってるんです。神戸には神戸の、桐生には桐生の、それぞれ根付いた和菓子屋さんがあるので、そこの水ようかんをみんなで食べようというわけです。

最近読んでいる和菓子の本が本当に面白くて、載っているものを全部食べたくなってしまう。7月だったら土用餅、七夕だったら水ようかん、なんていう風にね。暇なときにはリュックに入れてその本を眺めて、あ、こういうのいいなあなんて思っている。季節が巡り巡っていくということ自体が、ボクはなんだか好きなんですよね。

さて、今日の話題は「稼ぐということ」です。

ここ数日、失われた30年について喋ってきたわけですけど、最近はAIと付き合っている時間の方が長かったりします。それがいいことだとは思っていないので、ほどほどにしたいとは思いつつ、まあ今は出たてで物珍しくて、一日中この相手とおしゃべりをしているようなところがある。

で、「失われた30年とは一体何なのか」を端的に言うとどうなるかとAIに聞いてみたら、「受け身で済んでいた時代」というようなことを言ってきましてね。これにはちょっとドキッとしました。確かに、政府が景気対策をやってくれないかなとか、日銀がお金を刷ってくれないかなとか、誰かが株を持ち上げてくれないかなとか。自分でリスクを取って動くというより、最適な波に乗っかっていい所まで行こう、というのがこの30年だったわけです。

別に受け身が悪いとは思わないんですよ。サーファーが波に乗るのを「それ受け身だろう、男なら波を起こせ」と言われても困るわけです。来た波にどう上手に乗るかというのは、それだって簡単なことじゃない。スキーだって、山に登って滑り降りてくるだけと言われても、それはそれで面白さがある。

ただ、この30年というのは、「あるものの中でどう立ち振る舞うか」ばかりが語られてきた時代だったなと思うんです。どんな車がいいか、どんなレストランで食事をすればいいか。そういうことは語られてきたけれど、何もないところからどうやって波を作るのか、どうやって山に登って板を履いて降りてくるのか、ということは案外語られてこなかった。それが失われた30年じゃないか、とAIが言うのを聞いて、なるほどなと思ったわけです。

30年というのは、20代で働き始めて50になるまでの時間です。その全部を「あるものの中で立ち振る舞う」練習に使ってきたんだから、受け身が体に染みついていて当然なんですよね。これは誰が悪いという話じゃなくて、時代の空気は、そうやって体に入るものなんだと思います。

MAMEHICOも、コロナで痛手を食らって、その前には渋谷の再開発で街の様子ごと変わってしまって、MAMEHICO自身の失われた10年みたいな時期がありました。そのたびに、今までのやり方じゃダメだということで、常に新しいやり方、切り口を探してここまで来たわけです。その一方で、お店を守るという意味では、毎朝お湯を沸かしてコーヒー豆を挽くという同じことの繰り返しも、MAMEHICOの哲学の中には確かにある。壊して作り続けることと、淡々と繰り返すこと。この両輪を回してきたから、21年続いてきたんだろうと思います。

さて、1996年から30年経った2026年は、そういう受け身の時代が終わって、自分でなんとか稼がなくちゃいけない時代に突入したと思っているんです。今までの規制でがっちり守られたやり方は、これからAIに取って代わられるでしょうし、頼れると思っていた大きな仕組み自体が脆くなってきている。新しい形で自分の人生を組み立てていかなきゃいけない。それができる時代だと考えれば、実はとてもいい時代になってきているとも言えるんじゃないかと思います。

実際、うちの若い子たちと付き合っていても、高級バッグが欲しいとか贅沢三昧したいというようなことがない。むしろ地味な生活を送りたいという価値観がある。ちょっと上の世代の、何かあったら高いバッグを買いたい、高級レストランに行きたいという感覚とはずいぶん違う。それはとてもいいことだと思う一方で、日常を淡々とこなすだけでは「ケ」ばかりで「ハレ」が出てこなくなる。そのメリハリをどうつけるかというのも、また問われることなんだろうと思うわけです。

とにかく、ぶら下がって何もしなくても稼げた時代は、もう終わりだと思うんですよ。大きな組織にしがみついてすり減っていくヒトがゼロになるとは言いませんが、今まで安泰だと思われていたものが崩れていく。そしてその先頭を走るのが、おそらくAIでしょう。

じゃあ、どうやって稼ぐのか。そのためにスキルを磨けばいい、というのは、ボクはちょっと違うんじゃないかと思っているんです。スキルというのは、そもそも「何のスキルが必要か」自体が揺らいでいる時代ですから。

こういう時代に必要なのは、むしろコミュニケーション能力だとボクは思う。それは常に明るくいることではなく、いろんなヒトと関わるための「寛容さ」です。他人が自分を多少けなしたとしても笑ってごまかせる、他人に過度な期待をしない、そういう距離感を取れること。

ますます一人ではどうにもできない時代に来ているわけです。明るいヒトは、明るさでヒトと繋がればいい。暗いヒトは、無理に明るくならなくていい。寛容さと、何かひとつ、いいところがあれば、まわりの方から「この人はこういういいところがあるから仲間に入れたい」と言ってくれるものです。

そのうえで、自分の長所を、恥ずかしがらずに伝える。やりたいと思うことに、ちょっと図々しくても「仲間に混ぜてほしいんだけど」ぐらいのことを言う。手をあげる。これが、稼ぐ時代の一丁目一番地だと、ボクは思いますね。

まあ、これがなかなか、言うは易く行うは難し、ではあるんですけれど。

「天才よち丸ラジオ」のご視聴はこちら
MAMEHICO代表・井川さんのラジオです。
何気ない言葉の中に、ふと立ち止まるきっかけがあります。
これからの時代に必要な「コミュニケーション能力」とは?
ぜひ一度、耳を傾けてみてください。
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