三茶と神戸にて桃寒天パフェ始まりました。

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ドラマにならない

最近、MAMEHICOのマガジンを書いていると、ついつい、ドラマチックな生き方や、ドラマチックな表現を書いてしまうんですよ。マガジンの中に「病気になって」という記事があります。急に脳梗塞になった、急に癌になった。そういう中で、どうやって明日を生きていくのか。目の前が真っ暗になってからでも姿勢が定まっていって、今はどんなものも怖くない、と思えるようになった。そういう話です。ヒトの生き死にの話ですから、読むほうも、書くほうも、力が入ります。ああいう記事は、読まれるんです。

若いうちは、ついつい、どんなことでもドラマにしたくなるものです。自分は自分の人生の主人公なんだから、どんな困難が来たとしても、乗り越えてやるんだと。困難が大きいほど、乗り越えたときの絵は、美しい。それはそれで、非常にドラマチックじゃないですか。ボクにも、覚えがあります。

でも。

世の中は、大体、勝ち負けです。そして、勝つチームというのは、大体、ドラマが少ない。ドラマが起きないように、あらかじめ体制を作っているからです。選挙でもそうでしょう。何十年もやってきた政治家は、始まる前に勝ちを固めてから、選挙に臨みます。地盤を回り、票を読み、読み切ってから、出る。だから、勝っても、特にドラマチックなことはない。開票速報が始まった瞬間に、当確が出て、おしまいです。むしろ、それがひっくり返って、予想外の結果になったときのほうが、よっぽどドラマチックです。ニュースになるのも、そちらです。でも本来、勝ち負けというのは、ドラマチックであってはいけないものなんです。ドラマになったということは、読み違えたということですから。

MAMEHICOをやっていると、小さな組織ですからね、店からの報告が、ドラマチックなことが多いんです。コーヒー豆の発注を忘れたけど、急いで電話して、なんとか最終便に滑り込ませて間に合わせてもらった。いやあ、あのとき機転が利かなかったら、大変なところでしたよ、みたいな。報告している本人は、ちょっと得意げだったりする。物語としては、正しいんですよ。ピンチがあって、機転があって、間一髪で助かる。映画なら、いい場面です。でも本当は「ちゃんと発注しとけよ」という話でしかない。コーヒー豆でも何でも、足りなくならないようにしておくことのほうが、よっぽど大事なわけです。

ドラマに溺れない、ということだと思うんです。ドラマは、見るもの、作るものであって、暮らすものではありません。九死に一生を得るなんてことは、そう何度も続かない。忘れるようなヒトは、また次も忘れる。二度、三度続けば、もうそこに奇跡は起きません。最終便は、いつも待っていてはくれないんです。

いま、ボクはホームページを作りながら原稿を書いていますが、読み物としては、ドラマチックであるほうがいい。平穏な日々が平穏に続きました、では、誰も読みませんから。でも、実際の生活は、なるべくドラマチックじゃなくすることのほうが大事です。そのために、ルーティンがある。毎日毎日、事件があろうがなかろうが、何時に起きて、何時に出かけて、と、予想外のことが起きないような準備をしておく。段取りが良ければ、事件は、事件になる前に消えます。何も起きなかった一日というのは、実は、段取りが勝った一日なんです。誰も褒めてくれませんけどね。すべては、段取りなんじゃないかと思うわけです。

若いヒトに限らず、年齢を重ねたヒトでも、人生を毎日楽しく、ドラマチックにしたい、という気持ちを持っているものです。退屈が、いちばん怖いんですね。ボクも、ドラマを作る側の人間ですから、ドラマチックなことが嫌いなわけじゃないんですよ。舞台の上では、大いにドラマをやればいい。泣いて、笑って、ひっくり返って。ただ、それは舞台の上の話です。みんなの生活を守るリーダーの立場からすれば、なるべくドラマチックにしない、ということを、戒めとして持っておくのは、とても大事だと思うんです。舞台の上のドラマと、暮らしのドラマを、混ぜないこと。

これから時代の変化があって、おそらく、ドラマチックなことが、いろいろ起きてくる。だけど、そこに気を取られるんじゃなくて、日々のことは淡々と、事件が起きないようにしておく。健康だって、そうでしょう。大きな病気をしたあとに、いい先生に巡り合えた、ということより、大きな病気をしないような、日々の節制のほうが大事だし、いざというときに慌てないための、備えのほうが効くんです。名医との出会いは、ドラマですが、そのドラマは、ないほうがいい。

MAMEHICOには、常にヒヤヒヤした、一発逆転を目指そうという空気が、なんとなくチームに漂いがちなんですが。逆転というのは、負けている側の言葉です。先に段取っておけば、逆転の出番は、そもそもありません。新しいことをするより、店を綺麗にする。当たり前のものを、当たり前に提供する。そういう心持ちのほうが、必要だと思っています。

この話を聞いて、日常を大事にするという考え方に共感してくれるヒトがいたら、ぜひ一緒に働きましょう

「天才よち丸ラジオ」のご視聴はこちら
MAMEHICO代表・井川さんのラジオです。
何気ない言葉の中に、ふと立ち止まるきっかけがあります。
ドラマに溺れずに、当たり前のことを当たり前に。
ぜひ一度、耳を傾けてみてください。
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