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MAMEHICOのドライカレー

MAMEHICOのカレーの特徴

トモ
MAMEHICOのカレーを初めて頼んだ時にびっくりされるのは、やっぱり野菜なんだよ。
みさき
たしかに。いろんな野菜が来る。すごいよね。
トモ
ポテトサラダに、にんじんのラペ、ナス、トマト、それにグリーン。
みさき
確かに半分以上、3分の2は野菜だよね。
トモ
野菜だよ。

ドライカレーが運ばれてくる。
皿を見て声をあげるみさき。

みさき
来た、ありがとうございます。すごい、ほんとに3分の2くらいある。
みさき
これ、乗ってるスパイスは何?
トモ
ああ、それはホアジャオ。中国山椒。
麻婆とか担々麺にかかってる、あの中国の山椒。
それがアクセントになってて、このカレーの特徴だね。
みさき
久しぶりに食べる。これが噂の山椒か。
トモ
今日はナスを炒め煮して、冷やしてからミョウガと和えてる。
みさき
さっぱりしてて夏らしいね。
トモ
ちなみに、このポテトサラダに大豆が入ってるのは三茶店だけ。
みさき
え、なんで?
トモ
あと、にんじんにツナが入ってるのも三茶店だけか。
みさき
なんで。特別。面白い。
カレーもすごいし、ご飯が玄米なんだよね。
……言いたいことがいろいろある。情報量がマジで多い。

脂っぽくない理由

みさき
ホアジャオの香りがするよ。カレーなんだけど麻婆豆腐みたいな感じ。
トモ
でしょうね。
みさき
そして脂っぽくないよね。
トモ
だと思う。
みさき
キーマカレーって、ひき肉だから結構脂っこいのが多くない?
トモ
そう。お肉屋さんに脂を多くしないでと、井川さんが指定して頼んでるから。
みさき
そうなの?
トモ
ひき肉っていう肉はなくて、脂が多ければ白いし、肉の部分が多いと赤い。そういうことを井川さんは、ものすごくうるさい。だからスーパーでひき肉っていう買い方はしなくて、肉屋さんに何対何で、挽き方はあら挽きか、一度挽きか、2度挽きかで指定してる。
みさき
そういうのはわかるね。
トモ
それと、植物油もキャノーラ油とかは使わないで、国産の菜種油を圧搾した、薬を使わずにちゃんと絞ったものしか使わない。
みさき
菜種から抽出した純粋な油なんだね。
サラダ油って、工業的に菜種を薬につけて溶かして作るんだってね…。
トモ
そう。そういう油だともたれるとか、あるよね。
みさき
そうなんだ。
トモ
抽出方法が違う。MAMEHICOは全部ちゃんと絞られた油を選んで使ってる。でもこれはねお料理するヒトならわかると思うけど、高いんだよ。だからまとめて一斗缶で取って、使う分だけ小分けにしてつかってる。
みさき
体にスルスルって入るね。
ルーの骨格になってるお野菜も甘みがあって美味しい。
トモ
そう、玉ねぎ、にんじん、セロリの3種類の甘みがするよね。これはイタリア料理では「ソフリット」と呼ばれてて、ほんとに骨格なんだよ。
にんじんがちゃんと甘くなるまで強火で炒める。
弱火は絶対ダメ、グズグズのポタージュみたいになっちゃう。
みさき
でも大変でしょ?
トモ
そうだね、そのためには、最初の野菜のみじん切りの具合でほぼ決まるところがあって。
みさき
なるほど。
トモ
細かすぎると水分が出すぎてビショビショになる。いつまでもフライパンから湯気が消えない。時間もかかる。
でも粗すぎると、今度は、食感がボリボリしたりするし。
一口にカレーを作ると言っても、まずみじん切りの大きさを揃える。
その粗みじんを揃えるのが美味しさだね。
みさき
すごい。そこか。
トモ
たとえばにんじんは火を入れても水分が少ないから、ちょっと細かめがいい。
玉ねぎは細かすぎると、びしょびしょのジュースみたいになる。だからきちんと角のあるみじん切りに。

火加減という永遠のテーマ

トモ
火力より水が出てくるスピードの方が早いと、水分が飛ばないじゃん。
水を飛ばしたいのに飛ばないぐらいの火力で炒め続けると、ぐじょぐじょの煮物になっちゃう。
だから、火がいつも優勢じゃないとっていう。
みさき
それもまた大変。加減が。
トモ
フライパンの大きさに対して、仕込む量が違うと味変わるからね。みんな炒めてる間に、他の接客したりもするわけじゃない。
みさき
そうだよね、忙しいもんね。
トモ
目を離してると、焦げたり、煮物が出来上がったりしてしまう。すると、あのお方が怒る怒る。もうちょっと強くしろボケとか、焦げてんだろボケとか。
みさき
ボケとかいうの?
トモ
いういう。
みさき
コンプライアンスとか関係なく?
トモ
ないない。コンプライアンスなんて言ってると、この国は滅びるとか言ってるくらいだから。
みさき
はあ。
トモ
関係性ができてないヒトには、逆に何にも言わない。インじゃないですか。そういう昭和のヒト。
みさき
フフフ。火加減は難しいでしょ。
トモ
そう。銀座はIH、ビルのルールでガスが使えなくて、さらに電気容量の問題で、そんなに火力も強くできないから。三茶はガスだから、まるで違う。
みさき
全然違うね。

スパイスの香りを移す

トモ
カレーや中華作るときに、私がいつも井川さんに言われるのは、香りを移した油の料理なんだと。大事なのは油。にんにくや生姜も香りを油に移して、それから水を入れて乳化させろと。スパイスも油に香りを移さないとダメだけど、焦がしちゃ絶対ダメ。弱火でフツフツって。
これだけなんだけど、口では言えないことも多くて。
みさき
情報量めっちゃ多いね。30分しゃべれるわ、これは。
トモ
永遠にしゃべれる。一時間くらいいける。
みさき
見くびってた。
トモ
そのスパイスの香りを移した油で、ひき肉を炒める。ひき肉は水なんだよ。野菜も水。水を入れたら100度以上いかないから、やっぱりお店ではお金を取るので、きちんと火の料理を出さないとなと思ってる。
みさき
へぇー。野菜は別なの?
トモ
にんじんと玉ねぎは隣で別に炒めて、最後に合わせるよ。
そこにトマト。
ここもトマト缶を潰したピューレを入れるんだけど、野菜と肉が合わさった鍋に直接入れるんじゃなくて。
みさき
どういうこと?
トモ
トマト缶って酸味が強くて、そのまま入れると酸っぱいカレーになっちゃう。
だから、スパイスを炒めた方のフライパンで、まずトマト缶をきちんと強火で火を入れる。そうすると酸が飛んで。
酸味だけ残るんじゃなくて、コクが出て酸が飛ぶ。それを合わせる。
みさき
へえ。
トモ
油と酸も中和してまろやかにするんだよ。
脂っぽさは酸で中和されて、酸味も脂で中和されて、コクが出る。
みさき
コクが出る。科学だね、実験だね。
トモ
仕上げにバターとお醤油で香りづけ。
それはもう香り付けだから、あんまり火を入れないようにしてる。
で、塩加減は最後。
その日の野菜が持ってる水分量とか、炒めてる時の水の飛び具合で調整しなきゃいけない。
みさき
変わるんだ。
トモ
7割ぐらいお塩を入れといて、最後にどのくらい足すかを調整する。
みさき
足す分には足せるもんね。
トモ
引けないけど足せるから。
アイスコーヒーのお砂糖じゃないけど、カレーは塩がきちんと入らないと辛くならない。だからぼんやりしてるのは大抵塩が足らない。
スパイスが弱いなと思ったら、スパイスを入れるな塩を入れろって井川さん。今日のカレー、ちょっとぼんやりしてるなと思って塩を足すと、急にすっきりして、いろんな香りがする。
みさき
面白い。塩すごいんだね。
このつけあわせのナスとルーを合わせて食べても美味しそう。

ナスをひと口。

みさき
噂の通り、爽やか。本当だね。

季節で変わる付け合わせ野菜

トモ
MAMEHICOのドライカレーは、季節で付け合せの野菜が変わっていくから。
この間までは新玉ねぎのアチャール、唐辛子とお酢で和えたサラダみたいなのを乗せてたんだけど、新玉ねぎの季節が終わったから今はナス。
生姜とみょうがのオイルで蒸したナス。
みさき
油で蒸す?
トモ
鍋に油をたっぷり入れてナスを入れて蓋をすると、ナス自体が蒸されて火が通る。
みさき
くたっとした感じになるんだ。
トモ
くたっとして、油でちょっとこんがり香りもする。
生姜の香りを移した油でやってて、味付けはシンプルな塩とお砂糖と、ちょっとだけ醤油の香り。
みさき
それが最近加わったんだ。
トモ
そう。カレーに添えるお野菜の一品。
脂感はそんなにないんだけど、ナスが油を吸った時の美味しさはある。
みさき
揚げナスみたいなギトッとした感はなくて、ジューシーさが勝ってる。
ポテサラにさ、大豆ってなんで入れたの、これ。
トモ
なんでだろうね、だいぶ珍しい。
でもMAMEHICOだから。
昔は豆サラダとか豆カレーとか、お料理にも豆を結構使ってたんだけど、今はあんまりないからっていうのもあるかも。
みさき
そうなんだ。思ったより豆の主張が入ってるね。
トモ
結構主張ある。豆とジャガイモの比率が、結構豆かも。
みさき
美味しいね。
でもポテトサラダって感じじゃないね。ポテトサラダってマヨネーズの味が多いけど、そんなに強くない気がする。
トモ
お芋の甘さがね。
みさき
そうか、ホクホク。
トモ
このお芋も、塩加減がヒトによって違って難しかったんだけど、最近は塩の加減を統一することにして。
薄いと美味しくないし、濃すぎるとカレーと食べ合わせるにはしょっぱくなっちゃう。
サラダとして美味しいぐらいの味付けにしちゃうと、カレーと合わなくて。
みさき
サラダとしてはちょっと物足りないぐらいのものだと。
トモ
このプレートとして、一皿が成り立つっていう。
みさき
奥深いですね。みんな、ポテトサラダとして美味しくしちゃいそう。
トモ
でも洋服もそうじゃん、きっと。
みさき
そうだね。バランス。
みさき
上着は柔らかめで、小物ををキリッと差し色とかね。
どんなものでもトータルコーディネートがなきゃいけない、バランスが。
トモ
そうなの!