偶然を味方にする現場

こんにちは。MAMEHICO東京メンバーの鳥山大介です。
先日、「お手伝いに来てね」――その一言に背中を押されるように、半ば勢いで参加表明をさせていただいた、桐生・紫香邸での暦の手帖のロケ。
自分に何ができるのかも分からないまま、ただ「面白そう」という気持ちだけを頼りに参加してきました。
朝6時に紫香邸に集合し、まかないのサンドイッチを頬張りながら、打ち合わせ。
えっ、これでもうロケに入って大丈夫なのかな?と思うほど、穏やかな時間。
早速、車に乗り、ロケ地巡りへ。
群馬の神戸(ごうど)駅に向かいながら、絶対に逃せない電車の時間やロケ地を確認していく。
とてもびっくりしたのは、現場の「調整力」でした。
外でのロケだったので、打ち合わせ通りいかなかったり、思い描くシーンを撮るタイミングを一発で決めなきゃいけなかったりする中、その日の天気、光の入り方、たまたま現地で出会った人や物、咲いていた花、風の音まで ――すべてを拾い上げて作品に取り込んでいくんです。
花桃の木を真下から見上げた瞬間、空を覆い尽くすように咲き誇るピンクと白の花びらが、青空を背景にきらきらと揺れている。
普段、東京の生活では、周りはビルだらけで、街路樹を見たとて流してしまうような日々を送っていますが、時間が本当に穏やかに流れていました。
「ここにこの椅子があるから、座ってもらおう」
「今ちょうど光が綺麗だから、先にこのカットを押さえよう」
と、現場で起きるすべての偶然をチャンスに変えていく。
台本という設計図を持ちながらも、目の前にあるものだけで作品を成立させる現地調達力に、何度も舌を巻きました。
合間には、道端に生えているよもぎを摘む時間もあり、指先に残る独特の青い香りに驚き、日常の中にある非日常の時間にワクワクとしていました。
土から生えているそのままの姿に触れる。
たったそれだけのことなのに、なんだか自分の暮らしの解像度が一段上がったような気がしました。
最初は、遠巻きに眺めていただけでしたが、途中から、少しずつ役割をもらえるようになりました。
そして思いがけず任されたのが、カチンコの声がけ。
「シーン○、カット○、テイク○、よーい、スタート!」
――最初に口にしたときは、声が裏返りそうなほど緊張しましたが、たった数秒の発声に、これほど神経を使うとは思わなかったです。
何度かテイクを重ねるうちに、呼吸が掴めてきたような気もしました。
出演者の集中に入る直前の静けさ。監督の「オッケー」の合図。スタッフ全員が同じ方向を見つめる一瞬。
ほんの小さな仕事のはずなのに、自分もこの作品の一員なんだと、ふと実感しました。
この映像がどう仕上がるのか、今から楽しみです。
ノリで参加したはずの一日が、自分の中に小さな「やってみたい」をいくつも残してくれました。
台本通りに進めることよりも、その場にあるものを生かして作り上げていくしなやかさ。
この日は、撮影の合間に井川さんの「はじめて続ける」のお話会もあり、なかなかタイトな一日でした。
それでも、すべての撮影が終わったあと、スタッフのみなさんと撮影のことを話しながら食べたご飯の時間に、あの現場の柔軟さと熱量、そしてなんとも言えない達成感が残っていました。
あのときの感覚は、きっと何年経っても忘れないと思います。

東京だけでなく、神戸・桐生・埼玉・九州など
各地でカフェをつくってきました。
その多くがこの配信がきっかけのご縁です。
全国を回っています。どこかでお会いしましょう。
・神戸・暦の手帖
・連続ドラマ「ノッテビアンカ」
・MHP第一弾「紫陽花とバタークリーム」
・MHP第二弾「さよならとマシュマロを」 など





