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あなたが一人いち抜けすれば

シーパワーからランドパワーへ、という大きな流れの話を前回しました。
で、じゃあランドパワーに戻れば安心かというと、ボクはそうは思っていないんですよ。

「あの政治家が来たら良くなる」「あの政党が政権を取れば良くなる」——そういう声を、よく聞きますね。でも、良くなりませんよね。次に来るものが自由だとは限らない、というのがボクの正直な感触です。

ランドパワー的なもの、つまり国家が強くなれば、当然それは管理する側になっていく。警察や軍という暴力装置を持っている以上、情報を統制していく危険性は常にそこにある。シーパワーが衰退したから万歳、とはいかないわけです。

1694年のイングランド銀行の設立から続いてきた資本の論理が、終焉を迎えようとしている。移民も労働力も、資本が効率よく使えるところに流動させればいい、という論理ですね。これにこれだけ反発が起きているということは、みんながどこかで、言語化はできないけれど違和感を感じているということだと、ボクは思うんです。

ただ現実問題、地域の商店街を復活させよう、職人の技術を取り戻そう、祭りや共同体を作ろうと言ってみても、シーパワーが数百年かけて作り上げた社会制度や法律や政治環境が邪魔をして、なかなか動けない。個人レベルではSNSで割と自由にやれるようになってきたけれど、それを仕組みとして広げようとすると、まだまだ難しいわけです。

じゃあ何ができるかというと、ボクは「自分たちの足場を作る」ことだと思うんですよ。

足場というのは、強制力を持たない場所のことです。誰かに言われて来るんじゃなくて、来たいから来る。関わりたいから関わる。そういうものが積み重なっていく場所です。

何でも自発的であること。ただ、自発的であることと好き勝手やることは違う。共同体に関わる以上は責任があるわけで、自分の意見を我慢することも必要だし、「自分がいないとここが少し欠けてしまうかもしれない」という当事者意識もいる。そういうものを引き受けたヒトが、初めて足場を持てるんじゃないかと思っています。

コミュニティを運営するというのは、ものすごく大変なことです。強い使命感だけでやれるものじゃない。なんとなく集まってくる、強制力を持たない場所だからこそ、それをどう設計して維持するかが難しい。居心地のいい場所に新しいヒトが入ってくるときの摩擦を、どう乗り越えるか。そこには関わるヒトたちの成熟が、どうしても必要になってきます。

そして、そういう小さな足場を持ったヒトが、初めて政治や社会というものに向き合えるんじゃないかと、ボクは思う。政治においても、1人は1票というデータでしかない。でも、ただのデータとして扱われたくない、という違和感が今これだけあるということは、自分の1票を、自分で意味づけて投じたい、ということです。意味づけられた1票だけが、データの量に流されない。そういう1票を持ったヒトが集まってこそ、社会は変わっていくんじゃないか、ということですよ。

シーパワーからランドパワーへの移行は、1世代でうまくいくことじゃないかもしれません。ゆり戻しもあるだろうし、その過程で大きな不幸だって、当然ある。そういう過渡期に、一喜一憂してもしょうがない。

じゃあ、ボクはどうするか。

あなたが違和感を持っているものがあるなら、1人抜けてみればいい。バタフライエフェクトじゃないけれど、1人の動きが周囲を動かして、その周囲がいつか新しい社会の安定につながっていくはずだと、ボクは思うんです。

MAMEHICOは街のカフェですから、このカフェの中でできる範囲で社会と繋がりながら、おかしいものはおかしいと言い合える場所でありたい。そういうことを一緒にやっていきたいというヒトたちと、これからもやっていきたいわけです。

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