著者: 井川 啓央

遠くのtea、近くのcha

ボクはお茶が好きです。MAMEHICOで出している紅茶も、自分の舌で確かめて選んでる。 とくにダージリンには、ボクなりの理想があって、香りの立ち方、水色(すいしょく)、後味まで──これなら、と思える茶葉だけを選んでお店で […]

手をかけ、目をこらす

紫香邸が二日間だけ、洋食屋になるというイベントをやりました。今回は「洋食屋」は冬に続いて二回目だったので、準備もメニューも、前よりずっとよくできたと思ってます。けど、終わってみると、「もっとうまくできたよな」と、いろんな […]

キミはキミらしく

『桜の木にバナナの実』というエッセイ本を何年か前に書きました。それがポツポツと売れ続けて、そろそろ在庫がなくなりそうなので、久しぶりにまた刷って出そうと思っています。店頭でも買えますが、ホームページでも買えるようにするの […]

めんどくさいの先に

ある日、若い幼稚園の先生が、ボクにこんな相談をしてきました。 「井川さん、うちの園に、固形のものしか食べられない子がいるんです。スープとかジュースとか、やわらかいものはどうしても無理で、口に入れると吐き出しちゃう。お母さ […]

正解なきレシピ

今週末、紫香邸で「限定で洋食屋をオープンします」のイベントをやります。今回の目玉は、ハンバーグ。これしかない。2月にも同じ企画でやったんだけど、そのときも、子どもも、大人も、お年寄りも、なぜか二つ返事でハンバーグを頼む。 […]

しずかなる功労者たち

去年の秋から、ちょこちょこ桐生に通っては、紫香邸の庭をせっせといじっています。そんなに広い庭じゃないけど、ほっておけばすぐにジャングルになる。忙しいだの、いまやろうとしてたとこだの、そんな甘っちょろい言い訳は、植物には一 […]

創造とは過剰

今年に入って、ほとんど息つく暇がないんです。桐生では庭いじりと補修。毎月ある面白ラジオの脚本と収録、それに編集。御影では新作メニューづくりに加えて、イベントの仕込み。さらに、これまで手が回らなかったメンバーシップの仕組み […]

珈琲がつなぐ手と手

珈琲豆の値段が、ずっとジワジワ上がってきていたんですが、ここにきて、いよいよ「ひどいな」と言いたくなるほどの値上げが、容赦なく来ています。 2024年の終わりには、世界の主流であるアラビカ種の先物価格が1ポンド(約454 […]

変わる前に整える

「うちの会社、このままじゃいけない気がして。会社のなかにいると、ぜんぶ決まってるんです。前例とか、順番とか。それを変えようとすると、和を乱すヒトだと非難されて」 そんなふうにボクに愚痴をこぼしにくる大企業勤めの女性が、最 […]

お弁当がつないだもの

お弁当を作りはじめたのは、コロナ禍がきっかけでした。渋谷のお店に一般のお客さんが来なくなり、常連のお客さんだけが一日中店にいるようになったのです。さすがに珈琲とケーキだけで過ごすのは体に負担があると思い、体に優しい食事を […]

誰かとつくる

この夏から、MAMEHICOで新しいドラマを撮る予定です。いまはそのキャストやスタッフを集めて、少しずつ準備を進めているところ。 お客さんやスタッフとの共同作業で、これまでもドラマや映画、演劇をMAMEHICOを使って作 […]

見えないところこそ丁寧に

MAMEHICOの料理は、華やかさよりも、確かな味に重きを置いています。派手な盛りつけや、流行りの食材に頼らず、基本の調味料をどう使うか──それが店の味を決めています。見た目は控えめでも、心と体にしみ込んでいく。その味の […]