みなさんこんにちは。MAMEHICOメンバーの河村聡美です。
私は普段、在宅で弁理士という仕事をしています。
弁理士というのは特許に関わる仕事です。
そう、東京特許許可局の早口言葉でお馴染みのあの特許です。
いったいどんな仕事内容なのかというと、だいたい一日中パソコンの前に座って文章を書いています。
特許のアイデアを文章にまとめて東京特許許可局に申請するのが私の仕事です。
で、この仕事につきものなのが締め切りです。
いつまでに何件申請するというのが決まっているので、日々その締め切りに追われています。
チンタラやっているとあっという間に締め切りが来てしまうので、まさに効率が命。
だから、考え方もそれに引っぱられて、効率重視、無駄はキライ。
気づけば私はタイパ至上主義者になっていました。

今回はそんな私の考え方を、ちょっとだけ変えてくれた紫香邸での出来事のお話です。
話は今から2年前にさかのぼります。
今ではたくさんの方にいらしていただいている紫香邸ですが、当時はまだお客さんも少なく、1日お店を開けていたのにお客さんがひとりも来ないなんて日も。
そんな中、当時育休中だった私にとある依頼が舞い込みました。
依頼内容は、毎週金曜日に紫香邸に「居る」こと。
なんとも謎な依頼です。
そもそも「居る」とはなんぞや…?
そんなことが一瞬頭をよぎりましたが、まずは素直に通ってみることにしました。
よくわからない一方で、なんだか面白そうなことになりそうな予感があったからです。
通い始めたのは2024年の夏。
当時、息子は3ヶ月、娘は2歳でした。
そこから私の育休が終わる2025年の春まで紫香邸通いは続きました。
紫香邸では、あんみつを食べたり、お絵かきをしたり、折り紙をしたり。
当時はお客さんも少なくノンビリしていたので、今みたいにお手伝いすることも特にありません。
むしろ私たちのためにわざわざ果物を剥いてもらったこともありました。

こんなノンビリとした日々は楽しくもあったのですが、タイパ至上主義者である私の心には、同時にこんな思いも浮かんでいました。
「これって無駄じゃね…?」
私が紫香邸に通うことにより、特に何が変わるってわけでもない。
何も生み出していない。
そんなふうに思うようになっていったのです。
さらには、何も生み出していない割には、子ども二人を車に乗せて移動するのは大変だし、お店に着いたら着いたで、子どもたちはお冷や飲み物をよくこぼすので、それを拭い続けなきゃいけない。
「何も生み出さない割には、けっこう労力かかってるじゃん。無駄じゃね?」
気づけば私はそんなふうに感じるようになっていたのです。
でもね、これ、完全に間違いでした。

ある日、子どもがこぼした飲み物を拭いていたら、星野さんがこんなことを言ってくれたのです。
「子どもがいるとこうやってこまめに掃除するようになるから、むしろお部屋がきれいになるよね。」
これを聞いた時、私はまるで頭をガツンと殴られたような気持ちでした。
私の考える「効率」って、なんて視野の狭いものだったんだろうって。
(星野さんというのは桐生出身のMAMEHICOメンバーで、紫香邸とMAMEHICOの縁をつないでくれた人でもあります。)
紫香邸のような古い建物を維持していくためには、定期的に人が入って、そこで過ごして、時には汚してしまうことがあっても、それを掃除して⋯と、そういう繰り返しが必要なんです。
こういう、人の手が入る繰り返しのサイクルが途切れると、その建物は死んでしまいます。
人が去り、空き家になった家が、途端にすごいスピードで荒廃してしまうということはよく聞きますが、まさにそれです。
だから、このサイクルを回すことを考えても、子どもを含め私たちがここでただ過ごすことが、この紫香邸という場所の生命維持にとって、ある意味めちゃくちゃ「効率」がいいことなんだと教わったのです。

こんなシンプルなこと、どうして今まで気づかなかったんだろう。
それはきっと、この価値がおカネの物差しで測りづらいものだからだと思います。
今の世の中、「生産性イコールおカネ」と結び付けてしまいがち。
だから、少ない時間でいかに多くのおカネを得るかということを「効率」と考えるようになってしまうのです。
本当はそれだけじゃないのにね。

さて、今日はここまで。
皆さんもぜひ紫香邸に来てくださいね。
家には人が入らないと駄目なんで、どうかよろしく頼みます。
それでは、ごきげんよう!



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