三茶と神戸で「いちじくパフェ」が始まりました!

神戸で朝摘みされた完熟いちじくです

不便なのになくなると寂しい

飯塚 友美2026年09月15日

先日、常連のおばさまがお連れさまを連れて、お店にいらっしゃいました。
席につくやいなや、何やらずーっとMAMEHICOの説明をしてくださっています。

「ここはね、クロカンがおいしいから。これは絶対食べてね」
「このね、クロカンについてくるスプーンがまた厄介でねぇ。すっっごい食べにくいのよ!笑」
「でも、これがまたいいのよねぇ。ここのお店って感じで。あとで出てくるから、楽しみにしてなさいよ!」

…と、なぜか「食べにくいスプーン」について、ものすごく熱心に語ってくださる。笑
そんなに言われたら、どんなスプーンなのか、気になりますよね。

MAMEHICOでは、開店当初から「黒豆寒天」というメニューをやっていて、それを「クロカン」と呼んでいます。
黒豆は4日かけて、じっくり火を入れる。
やわらかくなるまで炊いた黒豆を、寒天にたっぷり乗せたデザートです。

三軒茶屋店では、このクロカンに、昔から「ピーナッツスプーン」を添えています。
その名の通り、ピーナッツのような形をしたスプーン。

柄の部分まで匙になっていて、片方が大きく、もう片方が小さい。
大きい方には「10gr. 0.53oz」、小さい方には「7gr. 0.25oz」と書かれています。
赤青鉛筆のように、両端が使える計量スプーンなのです。
井川さんがアメリカで見つけて、「おもしろい」と買ってきたものです。

クロカンと一緒にお出しするときには、
「口のサイズに合わせて、お好きな方でどうぞ!」
とお伝えしています。

これが、賛否両論。笑
特にお年寄りのお客さまからは、
「食べにくいわ。普通のスプーンにしてちょうだい」
と言われ、選手交代を余儀なくされることもあります。
あまりに不評だった時期には、ついに撤廃されたこともありました。

ところが。
「やっぱり、これで食べないとクロカンじゃない!!!」
という、貴重なファンのみなさんからの声援を受け、三軒茶屋店では復活。
おそらく、いまもこのスプーンを使っているのは三軒茶屋店くらいだと思います。笑

考えてみれば、不便なのです。
普通のスプーンのほうが、ずっと食べやすい。
でも、なくなってみると、なんだか寂しい。
そんな道具もあるんだなぁと思います。

そして、先日のおばさまのように、「食べにくいけど、これがいいのよ」と、誰かに伝えたくなる。
そういうものって、ちょっといいなと思うのです。

仕事ができない私は、「せめて私も、そんな人でありたいなぁ」なんて。
便利で、要領がよくて、なんでもスムーズにできる人ではなくて。
ちょっと厄介だけど、いなくなると寂しい。

あとになって、「あの人がいたほうが、なんだかよかったな」と思ってもらえるような人。
今でもピーナッツスプーンでクロカンを食べるたびに、そんなことを考えたりします。笑

さて、今年の「白玉クリームクロカン」は、中秋の名月。
9月末あたりまでの予定です。
MAMEHICOいちばんの看板メニューなのですが、やっぱり冬になると出なくなってしまうので、しばらくお休みしようと思っています。

ということで、今年のクロカンを堪能できるのも、あともう少し。
ぜひ今年は、ピーナッツスプーンで味わってみてください。笑