変化の正体

歴史というのは300年周期で「なんとかの時代」「なんとかの時代」と繰り返すと言うヒトがいますね。ボクはそういうことに詳しくもないし、その根拠も分からないんですけれど、なんにせよ、長く続いてきた何かが、今まさに転び始めているという感じはあるんですよ。
ボクはね、スピリチュアル的なものはよく分からないし、どちらかと言えば日々の生活、営みの方に興味があるものでね。300年の周期がどうとか言われても、そうなんですかとしか思わないんですけれど、少なくとも自分がお店をやってきた経験の中で言えば、確かにいろんなものが変わりつつあるというのは、肌の感覚としてあるんですね。
その変化の核にあるのは、情報の独占が崩れてきたということなんです。
かつて新聞、テレビ、出版社というのは、いわゆる情報の門番でしたよ。何を報じるか、何を報じないか。それをコントロールして、権力者にとって都合の悪い話は、この門番の段階でずっと止められてきた。アンビリーバブルなことも、アンタッチャブルなことも、報じなければみんなは知らない。知らないということは、ないことになる。そういう時代がずっと続いてきたわけですよ。
ところが、インターネットというものが、その壁を崩し始めた。
インターネットはもともとね、アメリカの国防総省が作った技術なんですね。国境を超えて、各地の基地が情報をIPアドレスで交換し、即時に共有できる仕組みから来ている。場所に縛られない、まさに流動する論理そのものだったわけです。
この道具を使って、グローバル資本は世界を均質化していきました。同じプラットフォーム、同じアルゴリズム、同じ広告。インターネットはグローバル資本にとって最強の武器にもなった、というわけですよ。
ただね、一方で、その均質化への逆流も当然生まれてきたんです。
アメリカのトランプという人物、彼自身はもちろん不動産で財を成した大富豪で、本人もグローバル資本の側にいるヒトなんですけれど。彼がSNSで突きつけているのは、CNNだとかニューヨークタイムスだとか、いわゆる既存のリベラルメディアの独占構造に対するノーだったり、ワシントンの統治エリート、ディープステートと呼ばれるような構造に対するノーだったりするわけです。
世界を一つに均してしまおうというグローバリズムに対して、自分の国の労働者の暮らしを守れというナショナリズム寄りの主張をする。それを大手メディアは悪く言うんですけれど、インターネットの中にはそれを支持するヒトが何千万人といる。かつてだったら、こういう主張をしたヒトは、異議申し立てをするヒトとして沈黙させられる時代もあったわけですよ。それが今は大統領になれるということなんですね。
それからね、権力の中心で長く隠されてきた、性や暴力にまつわるものが、次々と表に出てくるようにもなってきた。バチカンのスキャンダル、イギリス王室の裏側、エプスタイン文書の流出、ジャニーズ事務所の問題。かつては表に出なかったようなことが、出るようになってきた。これは偶然ではないわけですよ。情報の独占が崩れれば、隠されていたものはどんどん表に出てくる。
情報革命によってさまざまなものが白日の下にさらされることで、今まで重たい構造を支えてきたものが、自らの重みに耐えきれなくなって崩れていく、もしくは弱っていく。それが今だとボクは思っているんですね。
ただね、インターネットだけに頼るのも危険だとも思っているんです。
インターネットというのはね、もともと流動する論理に染まった宿命のもとに生まれてきたものだから、アルゴリズム一つ変えられれば、すぐに脆くなるものなんですよ。今、例えばGoogleやAppleのようなプラットフォームが自分たちの通貨を発行し、移動や購買を記録して、国家に代わって新しい「門番」になろうという動きもある。そうなればね、かつて東インド会社がインドやアイルランドで、市場の原理という名のもとに現地の食料を本国に吸い上げて、何百万のヒトを餓死させたのと同じことが、形を変えて起きる危険があるとボクなんかは思うわけですよ。
だからね、流動するものと、根を張るものとのバランスが、とても大事なんじゃないかと。
MAMEHICOというのはね、どうしてもランドパワー、つまり場所に引っ張られているわけです。狭い空間の中での発信でね、毎日繰り返し来てくれるヒトの顔を覚えて、名前を知る。そういうことは、インターネットのデータとは全く違うものだと、ボクは思っているんですね。
それでね、インターネットの中にも、顔を知り名前を覚えるというものを取り込めないか、とも思っているんですよ。例えば応援メンバーの仕組みで一人ひとりの参加が見えるようにするとか、オンラインで顔の見える集まりをやるとか、そういうやり方でね。
スモールでローカルでありながら、オープンにしていくこと。その摩擦は当然起きるんですけれど、そこの肝の太さを持って、コミュニティ運営をしていきたいと思っているわけです。

何気ない言葉の中に、ふと立ち止まるきっかけがあります。
ぜひ一度、耳を傾けてみてください。






