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紫香邸は9月3日より営業再開です!

桐生の織物に触れる

原 幸子2026年08月30日

みなさん、こんにちは。MAMEHICO紫香邸スタッフの原幸子です。

先日、桐生織の工房見学に行ってきました。
創業115年。糸染めから織りまでを一貫して生産している、最後の桐生織の工房です。
実は「暦の手帖」の撮影候補地に挙がっていたのですが、残念ながらスケジュールが合わず、動画の撮影とは別で見学させてもらったのです。

「桐生織」には7つの異なる織り方の技法が存在します。
その高度な織物技術が集積した産地・桐生の名を冠して「桐生織」と呼ぶんだそうで、桐生がかつて織物の街として栄えた歴史を物語る名前でもあります。
こちらの工房ではその7つの技法のうちの「御召織」「もじり織」という技法を主に用いて、伝統的工芸品の指定を受ける着物を創作しています。

カイコは本格的に繭を作る前に糸を試し吐きし、糸を吐くのに慣れていくと徐々に生糸に適した品質の糸を吐けるようになるそうです。
キビソと呼ばれる、試し吐きの頃の太さが不揃いで硬い糸は、1つの繭からわずか数パーセントしか取れないので希少性が高いそうです。
保湿性に優れているのが特徴で、そんな機能性や独特の風合いを生かして、キビソ糸を用いた織物も作られていて、実際にキビソ糸と生糸も見比べさせていただきました。
なるほど、確かにいわゆる絹糸として思い浮かぶ繊細で光沢のある生糸と、少しゴワゴワした風合いのキビソ糸では織物の仕上がりは全く違いそうです。
絹糸に種類があること自体知らなかったので、これは新鮮な学びでした。

工房には「紋紙」と呼ばれる、穴のたくさん空いた紙がずらり。
織物の模様は、表に見える色糸の組み合わせでできているので、織機で織り進める中で、どのタイミングでどの色の糸を表面に出すか、織り機に指示をする必要になります。
この紋紙はその指示書の役割をしているもの。
穴が開いているかどうかで、経糸を吊る機構を上げるかどうかが決まるんだそうです。
ひとつの模様を織るのに使う緯糸の数だけ、紋紙が必要なので、簡単な柄で数百枚程度、振袖のような大きく複雑な柄になると、数万枚ほどになることも。
素人には何のことやらわからない暗号のような穴の配列が、美しい着物の柄を決めているなんて…!
所狭しとあちこちに積んである紋紙の束に、この場所で積み重ねられてきた時間と伝統が詰まっているんだと感じました。

桐生に通うようになってからしばらく経ちますが、日常で織物に触れたり、知ったりする機会って今まできちんと持てていませんでしたが…
長年続いてきた技術の奥深さを垣間見させていただき、この街の歴史の一端に触れる貴重な時間でした。
その伝統を守り続けてきた皆さんの背中を見て、これから紫香邸を続けていく中での自分の姿勢を問われているような気がしました。