昨日の夜、19時40分くらいのこと。
店が落ち着いていたので、わたしは発注などの事務仕事を、客席の端っこでさせてもらっていました。
すると、若手スタッフのしほちゃんが、気を利かせてくれたのでしょう。
ラストオーダーと、お会計を回り始めたのでした。
三茶店は21時まで営業していますが、ラストオーダーは20時。
そして、ラストオーダーと一緒に、お会計も先にお願いしています。
というのも、21時にお客さんが帰ってから、「さぁ、締め作業を始めましょう」となると、朝から働いていたスタッフが、夜中まで帰れなくなってしまうからです。
以前、「今のマンパワーなら、いっそのこと20時クローズにしたらどうか」という話が出たこともあります。
確かに、店のことだけを考えたら、その方が楽です。でも、自分がお客さんだったら、21時まではやっていてほしい。
夜ごはんのあと、ちょっとお茶を飲みたいときもあるし、仕事帰りに一息つきたいときもある。
なので、その両方をとって、20時ラストオーダー、21時クローズという形にしています。
20時から21時までの1時間は、お客さんにはそのままゆっくり過ごしてもらいながら、私たちはあまりお構いせず、片付けをしたり、明日の準備をしたりする時間です。
だから、20時のお会計というのは、完全にこちらの都合なんですよね。
お客さんから、「お会計お願いします」と呼ばれて行くのとは、ちょっと違う。
今日初めて来た人だったら、「え、もうお会計なの?」と思うかもしれない。
絶賛集中して仕事をしている人もいるし、本を読んでいる人もいる。
ほっと一息ついて、ぼーっとしている人もいる。
それぞれが、それぞれの時間を過ごしているところに、「お先にお会計、失礼します」と、こちらの都合でちょっと横入りするわけです。
だから、このときのスタッフの温度感って、けっこう大事なんです。
20時だから会計をする。それだけなら簡単です。
でも、「20時なので、早く帰ってくださいね」という空気にはしたくない。
お客さんが今、どんなふうに過ごしているのかを感じながら、その時間の延長で、なるべくすっとお会計だけを終わらせる。
そして、「どうぞ、そのままゆっくりしていてくださいね」という空気を残して、去っていく。
……はずなのですが。
昨日のしほちゃん。
客席の端でパソコンを見ていた私の耳に、突然、ものすごく元気な声が聞こえてきました。
「はい!失礼しまーす!お会計のお時間でーす!」
「○○○円でーす!」
「はい、あざっしたー!はい、お次の方ー!」
…………。
ちょちょちょちょちょちょちょ!
ちょっと待ってよ!!!笑
まるで、ラーメン屋さんか居酒屋さんのようなテンション。
いやいやいや。
まず誰も、「お会計しておいてね」なんて頼んでない。
しかも、まだ20時にもなってない。
そして何より、なんでそんなテンションなのよ!?涙
即刻、わたしがその仕事を引き取りました。笑
でも、しほちゃんとしては、きっと、よかれと思ってやってくれたんですよね。
店が落ち着いている。もうすぐラストオーダー。だったら、今のうちにお会計をしておこう。
本人としては、自分で仕事を見つけて、先回りして動いた。
しかも、元気よく接客した。
一つひとつだけを見れば、別に悪いことをしているわけではないんです。
でも、「違うんだよなぁ……」と、私は感じる。
じゃあ、この「違う」を、どうやって伝えたらいいんでしょう。これが難しいです。
「もっと静かにお会計してね」と言えば、それで昨日のことは直るかもしれない。
でも、たぶん、それだけではないんですよね。
なぜ、この場面では静かな方がいいのか。
お客さんに、どんな時間を過ごしてもらいたいと思っているのか。
その仕事の奥にある理由までわかっていないと、たぶん別の場面で、また違うことが起きます。
そして、もう一つ。
しほちゃんのお会計を止めたあと、ふと周りを見ると、私以外のスタッフは、誰も気にしていない。
えっ。
誰か、「しほちゃん、それはちょっと違うんじゃない?」って言ってくれてもいいのに。笑
いろんなスタッフがいて、それぞれの考え方や、それぞれのやり方で仕事をする。
その中で、「いつも、同じお店である」ということ。

料理やコーヒーの味が同じなら、それで同じ店なのかというと、きっとそうではないんですよね。
料理の味と同じくらい、こういう細かな振る舞いにも、その店の「味」があるんだと思います。
もちろん、みんながピッタリ同じように接客する必要はないと思っています。
元気な人もいれば、静かな人もいる。よく喋る人もいれば、口数の少ない人もいる。
それぞれ違っていていい。
でも、その違いの中にも、「この店だったら、このくらい」という許容範囲のようなものがある。
その幅から大きく外れそうになったときに、「あれ、なんか違うぞ」と、一人ではなく、みんなが感じられること。
それができないと、その店の「味」を保っていくのは、なかなか難しいんだろうなと思います。
誰か一人だけがわかっていても、店としては保てません。
「いつも、ピッタリ同じMAMEHICO」じゃなくていい。
でも、「いつも、なんとなく同じMAMEHICOである」。
それって、思っていた以上に難しいことなんだなぁと、昨日は改めて感じて、ちょっと恐ろしくさえなった夜でした。笑



いつもの御影と銀座と三茶は、ぱっと入った瞬間は違うのに、椅子に座ってしばらくするとふわっとしつつスッキリとした空気感がある そして何だかホッとする ともちゃんの日記読んで"なんとなく同じMAMEHICO"が三茶だけでなく、なんとなくどのお店もMAMEHICOなんだなぁって思いました そして、しほちゃんの元気っぷりが想像できて、クスリとしました