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朝摘みの完熟いちじくの美味しさをぜひどうぞ

丁寧にやりすぎない

飯塚 友美2026年09月26日

先日、スタッフの子がクロカンの盛り付けをしていたのですが、最後にのせるアイスクリームに苦戦していました。
クロカンにのせるアイスクリームは60g。でも、秤の表示は58g……。

本人としては、「あと2g……!」と思って、アイスクリームを小さくすくって足そうとしているのですが、これがなかなか難しい。
そうこうしているうちに、アイスクリームはどんどん溶けていきます。
本人が「丁寧に」グラム通りにやろうとすればするほど、見た目はどんどん崩壊していく。残念ながら、丁寧とは遠ざかっていくわけです……。

こういうときは、正確さにこだわりすぎないことも大切です。
盛り付けが上手な人を見ていると、とにかく手数が少ないんです。
お皿を用意したら、どこに何を置くのか、もう頭の中で決まっている。
アイスクリームをすくったら、迷わずのせる。のせたら、もう触らない。
何度も位置を直したり、形を整えたりしない。
そういう人が盛り付けたものは、なんだか生き生きとしているんです。

反対に、何度も触られたものは、なんとなく元気がなくなって、くたびれた見た目になります。
果たして、くたびれたものが出てきて、お客さんは嬉しいのかしら……?
活きの良いものを、新鮮なうちに届けたいのなら、丁寧にやりすぎないこと。
さっ、さっ、さっ、と。なるべく一発で決める。細かなことに気を取られすぎず、スピード感を大切にすることも、おいしそうな一皿を仕上げるためには必要なんです。

そして、これは盛り付けに限った話ではありません。
接客でも、同じようなことがあります。

一人のお客さんに懇切丁寧に接することが、必ずしも、お店全体として「目配りの良い接客」になっているとは限らないんです。
例えば、一人のお客さんとずっとお話ししているスタッフがいたとします。
お客さんのお話をよく聞いて、質問にも丁寧に答えている。目の前のお客さんに対しては、とても親切です。
でも、その間に、別のお席ではお水がなくなっていたり、注文をしたそうなお客さんがスタッフを探していたりする。
新しく入ってきたお客さんも、誰にも気づいてもらえない。
目の前の一人には丁寧でも、お店全体としては、決して丁寧な接客になっていないわけです。

かといって、お客さんのお話を途中で遮ればよい、というわけでもありません。
お話をしながら、ほかのお席にも目を配る。お客さんの様子を見ながら、今は何を優先するべきなのかを考える。
一人のお客さんに気を配りながら、同時に、お店全体にも気を配る。これがなかなか難しいのですが、大切なことだと思います。

私たちは、目の前の仕事に一生懸命になると、ついつい、その仕事を完璧に仕上げることばかり考えてしまいます。
でも、お店の仕事というのは、一つひとつが独立しているわけではありません。
キッチンで料理を作っている間にも、お客さんは待っているし、ホールでは次の料理を運ぶ準備をしている。
自分が今やっている仕事だけを見ていては、お店全体がどう動いているのか、わからなくなってしまいます。

だから、目の前のことをきちんとやりながら、ときどき顔を上げて、周りを見る。
今、自分がこだわっていることは、本当にそこまで時間をかける必要があることなのか。
その時間を使って、ほかにできることはないだろうか。そんなふうに考えることも、仕事のうちなのだと思います。

もちろん、細かなことを気にしなくていい、という話ではありません。
決められた分量も、きれいな盛り付けも、お客さん一人ひとりへの丁寧な対応も、どれも大切なことです。
ただ、一つのことにこだわりすぎて、もっと大切なことが見えなくなってしまっては、元も子もありません。

自分が丁寧だと思っていることが、本当の意味で丁寧とは限らない。
目の前のことにきちんと向き合いながら、全体にもざっくりと目を配る。
要所を押さえて、細かなことは気にしすぎない。

要は、バランスですね。