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冷めることのない

色遊びへの熱

機織り

小西慶子

02

今を糸の色に乗せて織る

 色を楽しむ贅沢

私は6年前に織機を購入し、自宅でコツコツと布を織る暮らしを続けています。

織ることが楽しくてしょうがなく、初めて織機に触れた時から、その熱は今もまったく冷めそうにありません。何がそんなに楽しいのかと言うと、その魅力は一つではありません。

まずは、色で遊べることです。

実のところ、私が最初に心を奪われたのは、織機の前にある大きな糸棚だったと思います。そこには、パレットのように色とりどりの糸が並んでいて、本当に綺麗でした。

機織りでは、あらかじめ準備した経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を織り込んでいきます。手織りの場合は、そのどちらも自分の好きな糸を選ぶことができます。しかも、何色でも自由に選べます。

経糸と緯糸の組み合わせによって布の色はまったく違って見えるのですが、それをいくらでも好きなだけ試せるのです。

今日はどの色を選ぼうか。そう考えただけで胸が高鳴ります。

ちなみに、糸は絵の具のように混ざるわけではありません。隣り合う色を人の目が同時に見ることで、一つの印象が生まれます。こうして生まれる色を「織り色」と言うのですが、この色は実際に織ってみるまでどうなるかわかりません。

頭の中のイメージが布の上にどんなふうに現れるのかを楽しみながら、織り進めていきます。

織っているその瞬間に集中しながら、色そのものを味わう時間は、なんて贅沢なのだろうと思います。

気持ちを残し、リズムを感じる

自分が使う色の変化を楽しみながら過ごした時間は、その布の中に閉じ込められます。

その布を使うたび、目にするたびに、織っていた時のことを思い出します。何年も織り続けてきて少しずつ気づいたことですが、いつ見ても、その時のことをありありと思い出せるのです。

文字ではない形で気持ちを残せることが、とても素敵だと思っています。文字からこぼれ落ちてしまうような繊細な感覚も、モノはそのまま残しておいてくれるような気がします。

そして、何枚も織っているうちに、自分のリズムを布から教わるようになりました。

色のリズムの癖は、自分の物事の進め方や、一日の過ごし方とどこか似ています。どのタイミングで刺激が欲しいのか、繰り返しを好むのか。作り出したものには嘘がありません。

その感覚は、自分自身を見つめ直すきっかけにもなっています。

今は機織り教室もやらせていただいているので、他の方が織る布も目にします。そこで感じるのは、同じ色を使っていても、それぞれが好む美学やバランスはまったく異なるということです。

人には、その人それぞれが心地よいと感じるリズムや、「美しい」「かっこいい」と感じる感覚があり、それが布を通して見えてくるように思います。

思い切って開いた個展

そんなことを感じながら作業を続けて3年ほど経った頃、気づけば布がだいぶ溜まっていました。

実は、ここまで純粋に自分の好みだけで物事を進めたことが、それまでの私にはありませんでした。そのため、自分の織った布を人に見せることができませんでした。

見せるのが恥ずかしくて、怖くてたまらなかったのです。防御をしていない、剥き出しの自分を表現したものだったからです。

恐る恐る、自分が機織りをしていることを知り合いに打ち明け始めた頃が、御影のMAMEHICOに通い始めた時期でした。

その後、思い切って個展を開くことができたのは、MAMEHICOでの交流と、そこで知り合った方に強く背中を押していただいたおかげです。

個展は、私にとってご褒美のような時間になりました。

私の恐れなどどこ吹く風で、皆さんは作品を丁寧に見てくださり、関心を持ってくださいました。それが本当に嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

個展から教室へ

個展の会場に、紹介のつもりで置いていた織機も、来場者の方の興味を引きました。

ご来場のお礼の意味も込めて機織り体験をしていただくと、みなさんとても楽しそうで、自然な笑顔をたくさん目にすることになりました。そしてこの時間が、機織り教室を開くことにつながりました。

実は、それまで機織りを教えることはほとんど想定していませんでした。ところが思いがけず、入れ替わり立ち替わり、教室の話が出ました。

「まぁ、楽しんでくれる人がいるなら…」と控えめに始めた機織り教室は、それから3年ほど経った現在も続いていて、私にとっても今や欠かせない時間となっています。

通ってくださるお客様との時間が楽しみとなり、お客様の変化をともに感じられることの貴重さを、日々かみしめています。

誰かの声から次の挑戦へ

自分の作品をかばんやクッションカバーに仕立てることも始めました。

これも、個展の時にお客様からいただいたアイデアがきっかけです。「使いたい」と思っていただけたことがありがたく、「使える形にしたい」という気持ちにつながりました。

昨年からは、大阪の万博記念公園で開催されているロハスフェスタなどの野外マルシェにも出展し、作品を販売するようになりました。

振り返れば、新しい挑戦はいつも周りの方からのお声がけがきっかけになっています。

生み出す時の情熱と、使う方のことを想像する発想は、私にとって少し違うものです。販売を始めたことで、自分の中から生まれたものを通して人とつながり、そのつながりがまた新しい作品を生み出していく。そんな循環を感じています。

流れに身を任せて

ただ色を通して表現することに夢中になっていたら、気づけば機織り作家として周りの方と関わるようになっていました。

機織りを始めるまでの私は、ゴールを決めてそこへ向かって走ることばかりしてきました。でも今は、流れに身を任せながら、その時々を楽しむことを続けています。それが、今の私をつくっているように思います。

作る作品は少しずつ変化し続けていますが、織りたいアイデアはいつも頭の中で渋滞しています。機織り教室に来てくださる方も、少しずつ増えてきました。

皆さんにも、手織りを通して表現することの面白さや、手仕事ならではのモノが持つ魅力を感じていただけたら嬉しいです。

そして私は、これからも一生、織り続けていけたらと思っています。