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7/20は全店お休みをいただきます

シホとレイナの往復書簡

水野知帆 東京

池田玲菜 神戸

03

7月初旬 そろそろ梅雨明け

To.池田玲菜 様
From.水野知帆

お手紙、楽しく読ませてもらいました。

私も同世代の友達とは、自分がどんなことを考えているか、
こんなふうに深い話をしたことがありません。
チャットでも実際に会っても、どこか核心にはならず、
その話を避けている感じすらあります。
それは「相手が」傷つかないように、というよりも、
「私が」傷つかないようになのかもしれません。

だからこそ、レイナとのこの手紙のやり取りは新鮮で、
考えがどんどん深まっていくのが面白いです。

さて、この前の手紙の最後に
「神戸では、自分が自分の監督にならなきゃいけません」
と書いてありましたね。

今の私にも、まったく同じことが言えます。
井川さんやベテランの先輩たちがいる環境であっても、
言われたことを素直に受け取るのか、
それともその場しのぎで受け流してしまうのか。
これは環境よりも、自分自身の問題です。
私も日々、自分の中の監督と会議をしています。

そんな私の、最近あった苦い失敗談を聞いてください。

今、MAMEHICOをもっと多くの人に知ってもらうために、
「教えて井川さん」というショート動画を作っています。
SNSでよく見るテロップ付きの短い動画だから、
と高をくくっていたら、それが大間違いでした。
動画が世に出るまで、一週間以上もかかってしまったのです。

理由は単純で、私が仕事を舐めていたから。

ネットで調べれば動画編集のテクニックや
時短術はいくらでも出てきます。
それをよく理解しないまま取り入れた結果、
原因不明のエラーにはまり、
何が何だか分からなくなってしまいました。
見かねた井川さんが原因を突き止め、修正してくれたのですが、
楽をしようとして始めたことが、
かえって余計な手間を増やしていました。

さらに問題だったのは、
私は編集を「なんとなく」やっていたことです。

画面の見た目ばかり気にして、「音」には意識が向いていない。
テロップの大きさや位置にも意図がない。
そのとき初めて、自分がいかに
「なんとなく」仕事をしていたかを思い知りました。

レイナなら分かってもらえると思うけど、
井川さんからはそれはもう、こっぴどく叱られました。
でも同時に、井川さんが作るものは、
細かな意図の積み重ねで成り立っているのだ
ということも、身をもって知りました。

それ以来、ショート動画の見方が変わりました。
便利な機能を並べたり、効果音をたくさん入れたりしていても、
「何を伝えたいのか」が見えてこない動画は、
やっぱりどこか薄っぺらく感じてしまうのです。

私も、そんな動画を作りかけていました。
もしMAMEHICOからそんな動画を出していたら、
「この程度のお店なんだ」と思われても仕方がなかったと思います。
叱って止めてくれたことに、本当に感謝しています。

でも、これって動画だけの話じゃないと思うんだよ。
自分の人生なんだから、自分さえ良ければいい。
そう思っていても、人は思っている以上に誰かに影響を与えている。

だからこそ、自分という監督には、
もっと強くあってもらわないといけない。
ああ、本当に、どこにいたって、何をしていたって、
私たち、しっかりやらないといけないね。

動画はありがたいことに、多くの人に見てもらっていて、
お店に立っていると直接感想をもらうこともあります。
嬉しいと同時に、ますます、しっかりやらないとって思う。
「始めて続ける」じゃないけれど、
やり始めたからには責任を持って続けていくね。

レイナはどうですか。
レイナの心境も含めて、詳しく聞きたいよ。お返事、待ってます。

To.水野知帆 様
From.池田玲菜

神戸から東京へ

今週もお疲れ様でした。
私は大抵、御影店の定休日の火曜日にこのお手紙を書いています。
定休日は、リラックスしながら一週間を振り返る時間です。

東京にいた頃は、こういう時間も工夫しないと
なかなか作れなかったから、とてもありがたく感じています。
だからこそ、この時間も大切に使いたいです。

まだひと月しか経っていないけれど、いつか東京に戻る時が来たとして、
その時にみんなについていけないのは嫌なんです。
この穏やかさに慣れて、ふにゃふにゃになるんじゃなくて、
「少し成長したね」と思ってもらえるように頑張りたいです。

梅雨で雨の日が続いていますね。
雨に伴って客足も鈍く残念でしたが、
そんな時こそできることもたくさんあります。

掃除をしたり、日々メモに残している
「東京と違うこと」「改善できそうなこと」を相談したり。
むしろ、ある意味チャンスタイムです。

「2秒を1秒に」。

これは東京の先輩から何百万回も聞かされている、
スローガンのような言葉です。
耳にタコができるほど聞いてきました。
今では何を見ても、
「もっと早くするにはどうしたらいいかな?」
と自然に考えるようになりました。

でも、働き始めた頃は、その大切さが全然分かっていませんでした。
「2秒が1秒になったって、たった1秒じゃないか」
本気でそう思っていたんです。
でも、一つひとつは小さな1秒でも、それが積み重なれば大きな差になる。

他人が見ても読みやすい字で書く。
冷蔵庫を開けた瞬間に、どこに何があるか分かるようにしておく。
いつもと違うことは、「これ何?」と聞かれる前に一言伝える。
仕事って、そういう小さな積み重ねなんだなと思います。

当時の私は、評価されることばかり気にしていました。
小さなことは評価されないから、頑張っても意味がない。
今思えば、本当に恥ずかしい考え方です。

そんな姿勢で仕事をしていたのだから、
怒られっぱなしだったのも当然でした。
シホちゃんのお手紙を読んで、そんな頃の自分を思い出しました。

話は変わりますが、先日、東京のスタッフの日野さんが神戸に来て、
一緒に試作をしながらミーティングをしました。
試作がひと段落したあと、自然とそれぞれの昔の仕事の話になったんです。
その時、店長のシゲさんとみゆきさんが、
MAMEHICOを始める前の仕事について初めて詳しく聞かせてくれました。

会社員時代の苦労や、みゆきさんが実は
YouTuberとして成功しかけていた話。
一見、今とは関係なさそうに見える経験が、
ちゃんと今のMAMEHICOの仕事につながっている。
そんな話が、とても印象に残りました。

ひと通り話し終えたあと、シゲさんが、
「そう考えると、今のMAMEHICOでの仕事は幸せやなぁ」
と言いました。
私も、本当にそう思います。
なんだか、とてもいい時間でした。

そういえば、この往復書簡、神戸のお客さんも読んでくれています。
シホちゃんは、本当にお客さんから愛されているんだなあと感じます。
東京で頑張っている様子も、ちゃんと伝わっていますよ。

また東京での近況を聞かせてくださいね。お返事、待ってます。