みなさん、こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの前島由紀です。
私はずっと「働くとは何か?」という問いについて考えてきました。
私が育った社会では、働くことは、効率よくお金を稼ぐ手段だと思われていました。
時間を切り詰め、無駄を省き、専門性を高め、仕事を細かく分担する。
そんな「分業化」が当たり前の風景になっていたんです。
私自身は、それにどこか違和感を覚えつつも、「そういうものなのかな」と思ったりもして、専門性を身につけようと努めてきた時期もありました。
けれど、MAMEHICOで働くようになって、私が感じていた違和感は間違いではなかったのだと、はっきり思うようになりました。
MAMEHICOでの仕事は、あえて分業されていません。
お店に立ってコーヒーを淹れていた人が、気づけば裏庭で草むしりをしている。
芝居のセットを作っていた人が、そのあと厨房でプリンを焼いている。
梅ジュースを仕込んだ手で、次の瞬間にはチラシのデザイン。
ピアノを弾く人が、空き時間にドラマに出演し、広報の原稿を書いている。
照明を組んでいた人が、そのあと経理の電卓を叩いている。
誰が何屋なのか、本人たちでさえ分からないけれど、そうやってMAMEHICOはぐるぐると回っているのです。
誰もがいろんな仕事に手を伸ばし、互いに干渉し合いながら働く、不思議な場所。
私含めて、代表の井川さんのマルチな働きぶりに圧倒されて集まってきた人達だから、こうなっているのだと思います。
でもこれって、かつての台所仕事に似ているなと思うのです。
誰かが野菜を洗い、誰かが火を起こし、誰かが箸を並べる。
全員が料理人ではなくても、それぞれができる範囲で手を貸し合う。
そうやって、たくさんの手間と手が入るからこそ、美味しいごはんができる。
私は、MAMEHICOの働き方にも、その懐かしい手触りを感じています。
そうしてできたものが、誰かの「ごちそうさま」や「ありがとう」になり、拍手や笑顔、時には涙となって返ってくる。
それに関われていることが、私にとってはお金では買えない大切な報酬なのです。
働くとは、何かをつくること。
働くとは、誰かと関わること。
働くとは、自分が信じたものに手間をかけられること。
MAMEHICOは、そんな“働くことの本質”を私に思い出させてくれる場所です。
私はとても不器用で、雑で、だけど少し無理をしてでも頑張ろうと思えるのは、MAMEHICOに関われているからです。
そんなふうに、自分らしく働けることを、私は幸せに思っています。
さて。みなさんにとって、「働く」とは何ですか?
