この場所を想う

こんにちは!MAMEHICO東京スタッフの前島由紀です。

MAMEHICOのシフトは、早番・中番・遅番の大きく3つに分かれています。
その中でも、私は早番の仕事がとても好きです。

早番は、お店を開けるための準備をひとりで行います。
まずは、真っ暗な店内の鍵を開けるところから。
一晩こもった生暖かい空気が、むっと身体にまとわりつきます。
急いで着替え、ポットのお湯を沸かし、食洗機の電源を入れる。
前日に洗剤に浸けておいたダスターを洗って干し、今日使う新しいダスターをお湯にくぐらせて、しっかり絞り、きれいに畳んで所定の位置へ。

ほかにも、使い切った食材の仕込み、豆の火入れ、テーブル拭き、ランプシェードの埃取り、ガラス磨きなど…。
日によって優先順位を考えながら、たくさんの細々とした作業をこなしていきます。
1秒たりとも無駄にはできません。
でも、そんな忙しい朝の時間が、私は大好きです。

お客さんも誰もいない静かな店内で、クラシックの音楽を聴きながら、一つひとつの仕事を丁寧に、そして手早く終わらせていく。
MAMEHICOの空間を独り占めできる、貴重なひとときです。
今でこそ日常になりましたが、初めの頃は、店内に入る朝の光や澄んだ空気、心地よい音楽に浸りながら、「こんな心地よい空間で働けるなんて!」と、一人にやけていました。笑
あまり満喫しすぎると仕事が終わらなくて、オープン時間に間に合わないので要注意デス!

では、「心地よい空間」とはなんなのか?

私にとってのひとつは、「清潔であること」。
清潔とは何だろう?と考えたとき、単に掃除が行き届いているというだけではなく、「この場所を大切にしたい」という人の想いが、そこかしこに宿っていることだと思うのです。
たとえば、照明。椅子。木彫りの置物。トイレ……。

MAMEHICOは、今年で20周年を迎えます。
長年使われてきたテーブルや椅子、床には、傷や綻びもありますが、丁寧にワックスがけされ、経年による味わい深い美しさがあります。
それは、新品の美しさとは違った魅力です。
20年間、たくさんの人がこの場所を大切に想い、守り続けてきました。
そして今、そのバトンを受け取って、自分もその一員になっていることが、なんとも感慨深いのです。

だから、MAMEHICOに来たお客さんはきっと、「なんか、ここが落ち着くな」と思って、つい長居してしまう。
MAMEHICOの扉を開けたときと、お店を出るときでは、なにかが違う。
少し背筋が伸びたような、前向きになれたような、そんな気がするのではないでしょうか。
私が初めてマメヒコ宇田川町店を訪れて、そう感じたときのように。

初心忘るべからず。
日々のことはつい、あたりまえになりがちですが、あのとき感じた感覚を忘れずに、これからも目の前の仕事を丁寧に、淡々と積み重ねていこうと、改めて思うのです。

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