いよいよアイスコーヒー選挙!6/30です。

選挙が終わったら三茶と神戸は夏メニューになります。

シホとレイナの往復書簡

水野知帆 東京

池田玲菜 神戸

01

2026年6月下旬 梅雨入り

To.池田玲菜 様
From.水野知帆

東京から神戸へ

レイナ、お元気ですか?

レイナと最後に御影店で引き継ぎをしてから、もう1週間が経ちました。

このわずか1週間の間に、レイナが言っていた「東京は思ってる以上にハードですよ」という言葉の意味を噛み締めています。

まずは移動が大変。家から店に行くだけでも電車で1時間かかっちゃう。時間帯や乗る電車によっては席に座ることもできないし、なんならひとに押しつぶされる。

そんなのが往復2時間、毎日続く。体力勝負のカフェという仕事には、これがだいぶ効くね。

御影に住んでいた時は自転車で5分の場所に住んでいたから、この落差に体がまだついていけていません。本当、恵まれた環境にいたんだなあ。

それと営業時間の違い。

御影店は朝6時開店、夜6時閉店なので、家には遅くても7時前には着いていました。でも朝9時開店、夜9時閉店の三茶店に朝から晩まで入ると、そういう生活はできない。

締め作業までしたら家に着くのは真夜中。電車で寝過ごして、降りたい駅で降りられなかった時の、あの何とも言えない感じが、書きながら蘇ってきます。

「毎日大変だよ」と、レイナは笑いながら話していたよね。
あの「大変」を、私はずっと、お店の中のことだと思っていました。
お客さんが100人以上来る日もあるのに、少ない人数で回さなきゃいけない。そういう忙しさのことだと。
でも、実際に来てみたら、それだけじゃなかった。
さっき書いたような通勤や、生活そのものの大変さも、ぜんぶ含まれていたんだなと、今になって気づき始めています。

そうそう、そういう前提で、この前の日曜日に朝9時から夜9時まで初めて三茶店で働いたのだけれど、これは本当に大変だった。

開店と同時に5、6組のお客さんが来て、次々とモーニングを頼んでいく。途中パンが足りなくなって買い足しに行ったけれど、それも足りなくなるくらい注文が続いたなと思ったら、今度はランチタイム。

その後のカフェタイムには、満席で入れないお客さんが店の前で待っている。やっと落ち着いたと思ったら、夕方にはディナーのお客さんがやってくる。

そんな感じで、朝から晩まで流れが途切れないんだね。1日を通してお客さんが来てくれるのは本当にありがたいことだけれど、その分、中で働くスタッフは止まることなく動き続けないといけない。御影店でも同じだけれど、東京ではそのことをもっと強く感じました。「私たち、動き続けないと帰れないんだな」と心底思ったよ。

それにしても、こんな日々が続く中で、レイナはさらにお芝居もしていたんでしょう? いつ台詞を覚えていたの? 稽古だってあるし、本番までの準備もある。エンタメに関わることをやりたいと前に話してくれたけれど、夢や目標があったとしても、この生活はなかなかハードだなと思います。

ただ、大変な中にも楽しさはあって。最近、物販で販売するらっきょうの皮を10kg分剥いたの。2人がかりでも何時間もかかる作業だったんだけど、これが去年御影MINIで販売していたあのらっきょうなんだと思うと、こうやって作られていたんだと知れたことが、とても嬉しかった。さらに、今年はその作る場面に関われたことも嬉しかった。またみんなが「美味しい」と言って食べてくれるかな、なんて想像したりすると、大変さも吹っ飛ぶくらいだったよ。

そういう気持ちって、もしかしたらレイナの「お芝居をやりたい」という気持ちと少し似ているのかな。大変だけれど、その先に見たい景色があるから続けられる、みたいな。

まだ始まったばかりだけれど、1日でも早くこの生活に慣れて、この街で頑張ってみたいなと思っています。

レイナは御影でどんな毎日を過ごしていますか。

今度はレイナの方から、御影での日々のことを聞かせてください。

東京から神戸へ

To.水野知帆 様
From.池田玲菜

神戸から東京へ

シホちゃんへ

お手紙ありがとう!
私たちが東京と神戸とで入れ替わって、2週間経ちますね。

神戸での暮らしは最高です!
生まれてからずっと東京暮らしだったので、こんなに離れた土地で生活するのは初めて。
特に去年は社会勉強のために丸の内の会社でも働いていて、ザ・オフィス街で過ごしていたから、ギャップがとても大きいです。
だから、お店以外の時間に近くをただ歩いてみるだけでも、何もかも新鮮で楽しいです。
坂道の向こうに見える山の景色、阪急電車のお上品な焦げ茶色の車体にすら、ときめきを感じる日々を送っています。

神戸のMAMEHICOに来てからというもの、なんとびっくり、私はあんまり怒られていません!
これまで東京のお店でとにかく忙しくて、たくさんヘマをして、毎日怒られて、反省して…
そんな日々を送っていたから、こんなに怒られないのは久しぶりのことです。

18歳で出会って、20歳で働きはじめて、26歳になった今まで、井川さんはもちろん、お店の先輩のお姉さんたちが、どれほど私に価値ある教育をしてきてくれたのかを、切に感じています。
幸か不幸かずっと一番年下だったから、こんなに構ってもらえて、たくさん時間と労力をかけて注意してくれて、私の失敗の責任を取ってくれて、どれほどありがたかったか。
みんなが私に施してくれた教育は、確かに私の血肉になって身についていることを、離れてみて実感しています。

神戸では、「テキパキしてるね」とか「体力あるね」とか、およそ東京では絶対にいただけない評価をしてもらえるのですが、そんな時は必ず先輩の声が頭をよぎります。

「レイナは良いところあるんだけど、褒めると調子乗ってサボりだすから難しいんだよ…どうにかなんないそれ?」

もう100万回くらい言われているセリフだから、忘れようがありません。
だから褒められても調子には乗れません。これも教育の賜物です。

ところで、お手紙の中に、
「レイナはこんな生活の中、どうして芝居までがんばれたの? 大変だけれど、その先に見たい景色があるから続けられる、みたいな」
と綴ってくれたので、私の頑張る理由について少し考えてみました。

夢とか目標のために頑張っているかと言われると、うーん、少し違うような気がしました。

私は多分、MAMEHICOに居る・所属しているってこと自体が幸せなんだと思います。
大袈裟かもしれないけれど、こんなに面白くて、美味しいものだらけで、楽しい場所なんてないなって思うんです、本当に!
だから、MAMEHICOで起きることで私にできること(少ないながら)はなんでもやりたい。芝居でも、カフェでも。

誰かが喜んでくれるから頑張れるのかというと、それも違う気がする。
結果的にひとに喜んでもらえることをやっていることが多いけれど、そうした方が自分が満たされるからやってるんだと思います。

モノが溢れ、サービスの充実した東京に生まれ育って、子どもの時から消費者マインドの強い私。
お金がなくちゃ何にもできない自分にコンプレックスがあったから、何するにも不安で、良い大学でなきゃって思ってた。

芝居を見て品評する側じゃなくて、どう思われようと芝居を見せる側になる方が、そんな不安が消えていくんです。
芝居の本番の次の日にも、カフェを開けてお店に立つこともそう。
時間かかっても、自分たちでらっきょうを剥くこともそう。

モノの出来上がる過程を知ること、知識を得ること、できることが増えること。
そういうことの積み重ねが、自分の不安を払拭してくれて、自信を持たせてくれる気がするんです。
だから、頑張れる。

体力的なことは、よく食べて、よく寝れば大丈夫になりました。
こればっかりは慣れですね。
私もつい最近まで辛いと感じてたけど、続けていたら、筋肉がついてきました!

東京は、想像以上にハードだったでしょ?
でも、シホちゃんなら絶対大丈夫です。
大変さが増えた分、喜びも増えます。
心強い先輩もたくさんいます。
また神戸にくる時には、みんなに頼られまくりなこと、間違いなしです!

次のお手紙、待ってます。

神戸から東京へ