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三軒茶屋、神戸・御影
ハタケの記憶を辿って作る秋の味
MAMEHICOの秋の定番といえば、このカンボジアプリンです。
北海道に「ハタケマメヒコ」と呼んでいた畑があった頃は、自分たちでかぼちゃを育てるところからやっていました。5月に種を蒔き、9月に収穫して、10月頃からカンボジアプリンを作る。それがMAMEHICOの当たり前でした。
ハタケマメヒコがなくなった今も、そんな記憶を辿って、近郊で作られているかぼちゃではなく、引き続き北海道の農家さんから送ってもらったかぼちゃで、カンボジアプリンを作り続けています。

かぼちゃの甘みをしっかり引き出したプリンを、最後まで飽きずに食べ進められるのは、ほろ苦いカラメルソースのおかげ。だからカラメルは、焦げる少し手前まで火にかけ続けます。
透き通った茶色くらいで止めると、見た目はきれいでも、味はまだ甘すぎる。かといって攻めすぎると酸味が立ってしまい、これはこれで美味しくない。
躊躇しない、でも攻めすぎない。そのぎりぎりまで火にかけ続けることで、絶妙な味わいの濃褐色のソースができあがります。

かぼちゃは収穫したてよりも、水っぽさが抜けるまで乾かしたほうが味がのります。秋の乾いた風に当てて乾かす「風乾」をすると、ぐっと美味しくなるんです。これは北海道の畑で何百個ものかぼちゃを育ててきたからこそ、実感を持って言えること。
だからカンボジアプリンは、美味しくなった頃のかぼちゃが手に入るようになってから始まります。
届いたかぼちゃはカットして種を取り、串がすっと通るまでしっかり蒸して柔らかくします。皮を取り除いたら、潰してペーストに。蒸すことで甘みを引き出したかぼちゃの濃厚な味わいがあってこそ、プリンの美味しさが引き立ちます。

蒸したかぼちゃは手作業で潰しますが、どうしても潰しきれない部分が残ります。そのままだと、口に入れたときにざらっと、ぼそっとした食感になってしまいます。
そこで、かぼちゃのペーストに砂糖と牛乳を合わせてジューサーにしっかりかけ、さらに濾して、わずかに残った塊を取り除きます。こうすることで、どこを食べてもなめらかなプリンに仕上がります。
始めた当初はジューサーを使っていませんでした。別のメニューのためにお店にジューサーを置くようになり、試しにプリン作りにも使ってみたところ、驚くほどなめらかに。それ以来、欠かせない工程になりました。

プリン作りで何より重要なのは、蒸し焼きの温度管理です。 温度が高すぎると鬆(す)が入ったり、ひどいときにはプリンが爆発したように型から溢れ出たりします。逆に低すぎると、いつまで経っても固まりません。ほどよい柔らかさに固まった瞬間を見極めて、加熱をやめられるかどうか。すべてはそこにかかっています。
オーブンの温度設定と加熱時間を調節しながら、プリン自体が何度になっているかを確かめる。タイマーと温度計とにらめっこし、最後は型ごと揺らしたときのプリンの様子を目で見て、引き上げるタイミングを決めます。同じようにやっているつもりでも、蒸気の当たり具合のちょっとした違いで、毎回様子が変わるんです。
この見極めがいちばん難しく、でも追求しがいのある面白いところです。

カンボジアプリンのトッピングは、これまでさまざまに変わってきました。長く定番だったのは純生のホイップクリーム。ところがある年、井川さんが思いついてリコッタチーズを添えてみたら、さっぱりとしてプリンとの相性もよかったんです。
それ以来、純生ホイップクリームとリコッタチーズは年によって入れ替わり。両方から選べる年もあれば、どちらか一方だけの年もあり、人気は真っ二つに分かれていました。
そこで2025年秋、ついに「カンボジアプリン選挙」を開催し、どちらか一方に決める投票を行いました。結果は見事、リコッタチーズの勝利。 こうしてカンボジアプリンの正式な相棒はリコッタチーズに決まり、今では堂々とプリンの上に鎮座しています。

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