連続ドラマ「ノッテビアンカ」のこと㉔vol.8-3

こんにちは。MAMEHICOの坂本智佳子です。
年明けから、YouTube連続ドラマ『ノッテビアンカ』をご紹介しています。
ドラマでは宝田クミ役として出演もしましたが、実は私、裏方全般を担当する制作のメインスタッフでもあります。
出演は「ちょっとだけ出てみた」くらいの感覚で、根っからの裏方好きです。

さて、ちょうど今みたいな紫陽花の美しい梅雨の季節に、「ノッテビアンカ」の最終回のロケは行われました。
現実と虚構が自然に溶け合っているこのドラマ。
渋谷にあったマメヒコはなくなってしまったことも本当だし、公園でみんなでカワセミを見たことも本当です。

でも、あとから振り返って、あれがひとつの節目だったんだなぁと感じることでも、実際にその場にいるときは、案外あっけなく、ふわっと通り過ぎてしまうものなのだと感じています。
ノッテビアンカのロケの最終日も、そうでした。
特別なことってなかったように思います。

そして、ロケが終わってから、3年。
その間の忙しなさと言ったら、ノッテビアンカのロケ以上でした。
「メンバーシップ制のイベントカフェ MAMEHICO」として、 東京・銀座、神戸・御影、群馬・桐生へと、輪を広げて、続々と新店がオープンしたためです。
もし、あのドラマづくりがなかったら、 今のMAMEHICOは、きっとまったく違うお店になっていたと思います。
メンバーシップという考え方すら、生まれていなかったかもしれません。

最終回のラストシーンは、静かな日差しが美しく、私のもっとも好きなシーンです。
光の具合も、セリフの余白も、表情の生々しさも、あぁ、やっぱりノッテビアンカだなと思います。
このドラマを見ていただいた方は感じたと思いますが、派手な演出はありません。
でも、そこには確かに、関係性があって、人間が生きています。
一人で生きることの寂しさ、誰かと関わることの煩わしさ。
それでもやっぱり、人とつながることの豊かさ。
その積み重ねが、日常の愛しさになっていく。
そんなことを、このドラマでは丁寧に描いています。

年明けから続けてきた「ノッテビアンカ」おすすめキャンペーンも、今回で一区切り。
まだご覧になっていない方は、ぜひ最終話だけでも観てみてください。
心にふと余白が生まれ、日常を大切にしたくなるかもしれません。

制作中、井川さんがよく言っていました。
「これは、素人がモチベーションだけで、どこまで連続ドラマを作れるかという社会実験なんだよ」と。
撮影も、照明も、録音も、美術も、制作も、記録も。 本来ならプロが担当するはずのすべてのセクションを、自分たちの手でやりきりました。
私は現場ではなんでも屋としてロケのあらゆる部分に関わっていました。
だからこそ、最終回のエンドロールに流れる名前のひとつひとつに、今でもたくさんの思い出が溢れてきて、とても感慨深いです。

YouTube連続ドラマ『ノッテビアンカ』、全24話・10時間36分48秒。
1年弱をかけての撮影で、ロケ日数は100日を超え、テイク数は4000以上。
この数字の裏にあるのは、井川さんの指揮のもとに集ったひとたちの熱意です。
その延長線上に、 MAMEHICOというお店が育まれています。
集まった誰かと、目の前のものを一緒につくって、一緒に食べて、色んなことがある日常を楽しんで、希望をもって生きる。
そんな積み重ねが、MAMEHICOの原点であり、これからも変わらない土台でもあると思っています。

 


連続ドラマ「ノッテビアンカ」
全8話(vol.1〜8 Act.1,2,3/24回)

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