記憶に咲く花

こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの草ヶ谷美香です。

今年、カフェメニューに、数年ぶりにこの季節の定番デザート「紫陽花ケーキ」が帰ってきました。
コロナ禍を経て、さまざまな変化のなかで、しばらくお休みしていたこのケーキ。
いまのスタッフの中には「話に聞いたことはあるけれど、食べたことがない」という人も多く、再登場が決まったときには、「噂に聞くあのケーキを私たちが作れるんだ!」と、どこか浮き立つような気持ちでスタートを切ったのでした。

紫陽花といって、私の頭に思い浮かぶのは、2017年の夏に閉店した「カフエマメヒコ宇田川町店」のことです。
再開発が進む渋谷の街の中で、時代の波に飲まれるようにして幕を閉じることになった宇田川町店。
その最後の日を迎えるにあたって、みんなで話し合い、「お店を紫陽花でいっぱいにしよう」ということになったんです。

その時、お客さまからも紫陽花の鉢や、紫陽花を買うための「お花募金」を募りました。
最後の数週間、日を追うごとに店内の紫陽花は増えていき、閉店の日には、入り口から奥の棚まで、紫陽花に包まれるような店内になりました。
そのときの光景が、今も私の中に色濃く残っていて、紫陽花を見るたびに、渋谷のあの店がふっと蘇ってきます。

そして、MAMEHICOは今年で20周年を迎えます。
この節目の年に、もう一度「お花募金」をはじめることにしました。

植物は、私たち人間が感じるよりもずっと敏感に、季節の移ろいを感じ取り、芽を出し、花を咲かせます。
その姿は、毎年決まって繰り返される自然の営みのようでいて、私たちにとっては、ふとした記憶を呼び覚ます小さな合図でもあるんだなぁと思います。

今年のMAMEHICOでは、そんな季節のお花と共に、みなさんと季節を楽しみながら、20周年をお祝いできたらうれしいなと思っています。
紫陽花ケーキの復活とともに、また新たな「お花の記憶」が生まれていきますように。

店内にたくさんの季節の花を咲かせるための、小さなご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

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