こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの田中朋美です。
春も深まり、気温は日ごとに上がって、まるで初夏のような日も増えてきましたね。
店内では、ノースリーブのお客さまがいらっしゃる一方で、ニットの上着を羽織ったままの方も。
「ちょっと暑いですね」と言われてクーラーをつけると、次には「少し寒いです」とお声がかかる。
この季節、ホールスタッフは終日、空調の微調整に気を配ります。
わずかな温度差が、居心地にも、注文にも、思いのほか大きく影響するからです。
たとえば、飲みもの。
ホットの深煎り珈琲から、アイスコーヒーや、はちみつ檸檬のサイダー割りへと、少しずつオーダーの流れが変わってきました。
お客さまの体感の揺らぎに、自然と飲みたいものが連動しているのがわかります。
一方、届く食材にも変化が見えはじめました。
いちごは、色が少し淡くなり、香りもやさしく。
檸檬は皮がしわしわとなり、果汁も少し丸くなってきました。
素材が季節の終わりを教えてくれるのです。
プレートの副菜も長ネギから新玉ねぎに切り替えました。
新玉ねぎは水にさらすだけで、みずみずしさと、ほんのりとした甘さが広がります。
ほんの小さな差ですが、ひと皿の印象がふっと春らしくなる。
そういう変化を、さりげなく織り込んでいきたいと思っています。
MAMEHICOの井川さんは、こうした変化にとても敏感です。
季節の揺らぎや、お客さまの気配をいち早く察して、すっと整えていく。
一方の私はというと、何事にも少し構えてしまうというか、変化に対してはどうしても乗り切れず、のろまなほうで。
昨年まで私は、小学校の教員をしていました。
新しい時代の変化を感じる中で、私も変わりたい気持ちは強くありました。
だけど「きりのいいところまで」と迷っているうちに、ずいぶん時間が経ってしまいました。
MAMEHICOでの日々は、気づき、応え、整える――その連続です。
お店に立ちながら、少しずつ柔らかくなっていく自分を、最近楽しめるようになりました。
新玉ねぎを水にさらしながら、そんなことをふと思った春の午後です。
どうぞ、春のMAMEHICOに、やさしい変化を感じにいらしてください。
