みなさん、こんにちは。MAMEHICO神戸・御影店長しげちゃんの妻の渡辺みゆきです。
春陽、烈日、斜陽…さまざまな太陽の表情がありますが、私は、夕焼けを見るのが苦手でした。
悲しい気持ちになり、なぜかその気持ちと向き合うことが億劫で、なんとなく夕焼けを見るのを避けていました。
そんな私が、cinemusicaで音楽を担当される、シンガーソングライター・入日茜さんのお名前を見て、「夕焼けの色だ!」と思い、なによりもそのことに驚きました。なぜこのお名前なんだろう?
入日さんは、「私の音楽を聴いてくれている時に、夕焼けを見つめているときの気持ちになってくれるといいなと思って、この名前をつけました。」とおっしゃいました。
1日が終わろうとするとき、出来なかったこと、伝えられなかったこと、思い通りにいかなかったことを思い、後悔や悲しみがこみ上げる。
けれど、「終わり」は「始まり」でもある。そこに希望がある、と。
cinemusicaの物語の舞台は、閉館が決まっている古い映画館です。
その最後の日、掃除婦として働く男と、母を亡くした大学生の女の子が映画館のロビーで出会います。
短い会話を通して、少しずつ心を通わせ、やがて母の死の秘密が明らかになっていく…というお話です。
男も女の子も、人には言えない無情さや、ままならなさ、胸が張り裂けるほどの辛い出来事を経験しています。
その物語のあいだに、その心情を代弁するかのように、入日茜さんが自身の曲を歌われます。
また、「ニュー・シネマ・パラダイス」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」といった映画音楽や映像も流れます。
入日茜さんの歌や、劇中で使われる映画音楽に共通していると感じるのは、長調の曲であってもただ明るいだけではないこと。
辛さや悲しみを知り、いくつもの傷を乗り越えた人が見せる笑顔のようなあたたかさ、そして、どんな人のどんな人生も肯定するような強さがあることです。
そうした音楽やストーリーに触れると、自分の中にある辛さや悲しさが引き出される。
それと一体化し、心が震えたとき、自分を肯定できたり、他者とつながれたりする。
そうして、人は救われるのではないかと思います。
夕焼けを見て、自分の悲しみと向き合うことを避けてきた私も、cinemusicaに触れたことで救われた気がします。
cinemusicaが、観る人にとって、そんな出会いとなることを信じています。

2025.3.22
14:00〜16:00
cinemusica
MAMEHICO御影にて