こんにちは。岩手からMAMEHICOに通っている(笑)、MAMEHICOメンバーの菊池幸恵です。
MAMEHICOのお土産のなかでも、私のいちばんのお気に入りは「いちごジャム」です。
市販のジャムとは、ぜんぜん味が違います。
いちごの香りと甘酸っぱさ、ほどよく残った果肉の食感、そしてなめらかな粘度。
どれも絶妙で、MAMEHICOのいちごジャムは別格です。
うちはあまりパンを食べる家庭ではなく、ジャムはいつも使い切れずにカビさせてしまうことが多かったのですが、MAMEHICOのはいったん開けたらすぐになくなります。
4歳の姪も大好きで、パンに塗ったジャムだけを器用にすくって食べ、「もっとちょうだい」とおねだりするほど。
すっかり市販のジャムを買うことはなくなりました。
このジャムを食べていると、ただ「おいしい」だけでなく、丁寧に手をかけて作られていることが伝わってきます。
流行や派手さではなく、本当にいいものを、まっすぐに届けようとする姿勢。
そんなものづくりの在り方に、私はMAMEHICOの精神を感じています。
MAMEHICOは、有名チェーンのように「メインストリーム」にいるお店ではありません。
けれど、自分たちの美意識に従って、地道に、誠実に、ものを作り続けている。
そこに、私は深い魅力と信頼を感じているのです。
そんなMAMEHICOの存在を知るきっかけになったのが──店主の井川さんと、MAMEHICOの常連でもある音楽プロデューサー・瀬尾一三さんがやっていた「ラジオ瀬尾さん」でした。
瀬尾さんは、中島みゆきさんの長年のプロデューサーであり、編曲家としても多くの名曲を手がけてこられた方です。
このラジオでは、お茶を飲みながら、井川さんの軽口まじりの問いかけに応じて、次第に饒舌になっていく瀬尾さんの姿が聴けて、まるで漫談のような軽快さと、思わず唸るような深い言葉に満ちていました。
そのなかで、瀬尾さんがたびたび口にしていたのが、こんな言葉です。
「俺はメインストリームではないし、万人受けすることはしたくない。つねに裏街道で生きていたい」
もちろん、瀬尾さんが「裏街道」と言うには、あまりにも多くのメジャーな作品を第一線で手がけてきた方です。
でもこれは、謙遜ではなく、自分の信念を貫いて生きているという意味だったのだと思います。
ラジオを聴きはじめたばかりの頃は、「どうして瀬尾さんは、MAMEHICOというカフェの井川さんとラジオをやっているんだろう?」と少し不思議に感じていました。
けれど、聴き続けているうちに、井川さんがハッとするような鋭いことを言っているのに気づきました。
そして瀬尾さんも、それを真正面から受け止め、言葉を返す。
そこには、静かで深い信頼関係があったように感じます。
やがて私自身がMAMEHICOに通うようになり、少しずつ腑に落ちていきました。
瀬尾さんも井川さんも、そしてMAMEHICOという店も、ウケるかどうかではなく、自分の美意識を大切にしながら、まっすぐなものづくりを続けている。
その共通点が、自然と浮かび上がってきたのです。
中島みゆきさんという表現者を、静かに、でも深く支え続けてきた瀬尾一三さん。
その瀬尾さんと、軽やかに、ときに鋭く、真剣な言葉を投げ続けた井川さん。
その井川さんが構えるMAMEHICOという空間。
私はそこに、ひとつの流れを感じています。
中島みゆきさんから瀬尾さん、瀬尾さんから井川さん、井川さんからMAMEHICO──。
私は、このジャムひとつとっても、その流れが息づいていると感じるのです。

いちごジャムとグラノーラ2袋の朝食セット
¥4,200(税別)