ゆるやかな縁のなかで

ボクは「いかひこ塾」っていう、ゆるく続いてる集まりをやってます。
今日はその話を少し。

世の中には、いろんな塾や勉強会がありますけど、だいたいは「正しい答えを教える」っていうスタイルでしょう?
でもね、ボクは思うのね。いまのヒトたちがほんとうに欲しいのって、「正解」じゃないんじゃないかしらと。

たとえば。ほんとの自分をさらけ出せる。
そんな当たり前のことが、なんともまぁ、うまくできないヒトって実に多いのね。
べつに「素っ裸になれ」とかそんな昭和のアングラ劇団みたいなこと言ってるんじゃないよ。

「いま自分が感じたことを、自分の言葉で話してみてよ」。

そんだけのこと訪ねてるだけなのに、緊張してなにも言えなくなるヒトって案外多いのね。
緊張するってことは、どこかに「正解」があると思ってるんだろうけど、自分が感じたことに正解なんかないのにね。

うまく言えなくてもいい、まとまってなくてもいい、「こう思った」、ただそれを言えばいいだけなのに、みんなすぐ怖気づく。
この国は困った闇を抱えていると思うよ。

そんな体験がいくつもあるんで、「いかひこ塾」っていうのを作って、MAMEHICOのお客さんと、深く関わる口実にしたの。

「塾」というネーミングにしてるけど、べつに自己開放カリキュラムを用意してるわけじゃなし、なにやらワークショップをやってそこに参加させるわけでもない。
ただ、集まったヒトたちと、思いついたことを一緒にやる。それだけのこと。

ボクが思いつきの話しをしたあと、お茶飲んだり、ご飯食べたり。
ボクがつくる創作のあれこれを手伝ってもらったりもするし、遠くまで遠足に行ったりもしたなー。
やってることはかなりアクティブだと思う。
だけど、どれも明確な目的があってやってるわけじゃない。

ボクは基本的に、誰に対しても忖度するほうではないし、「お前それ違うんじゃないの」みたいなことは初めてのヒトでも言ったりする。
だけど、それは言ってほしそうな顔してるから言うんであって、言ってほしくなさそうなヒトには言わない。

去年までは一応、年会費って形をとってたんだけど、今年から「自由料金制」っていうふうにやってみた。
月謝も参加費もなし。
「これくらいかな」と思った金額を、自分で決めて払ってくれればいい。
「払いたくなければ、払わなくていい」。
そのうち「払いたくなったら払う」でもいい。
お金が高いから入れないとか、そういうことはだからないんだよ。

MAMEHICOでは、不特定多数のお客さんを相手に、「定期券」とか「お豆賃」とか、「ただひこ」とか、いろんな仕組みを実験的にやってみてるんだけど、結局わかったのはね。
深い信頼関係を結ぶには、時間と縁が必要だってこと。
「塾」でなんとなく生い立ちを聞いたり、雑用を手伝わせてみたり。
そういう他愛のない時間が、互いの信頼を築く。

「なんだかよくわからない塾」って、二の足を踏むヒトが多いのは承知してる。
「いかひこ塾」に関しては、それでいいと思ってる。ひとつの縁だめしだから。
なんとなくボクの近くにいれば、なにか始めるときに声をかける機会が増えるでしょ。

ボクはかなり「ヒト」のことを見るタイプなんで、近くにいれば、「あ、このヒトにこれを頼んだらうまくいくな」って、自然と次に進むことが多い。
そのおかげで「MAMEHICOに来て、自分の気持ちがほどけた」って言うヒトもけっこういるよ。
ボクの周りには、自分をさらけ出しても変な目で見たりするヒトはいないし、心の中で匿ってる子どもに対して、ボクはけっこう親切な大人だと思う。

「そのままのワタシでいられる」っていう安心感が、学びにはいちばん大事だとしたら、結果として、いかひこ塾は大いに「学びの場」になってるんじゃないかしら?
自分ではそんなふうに思ってるけど、果たしてどうなんだろうね。

 

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