みなさん、こんにちは。MAMEHICO神戸・御影店長の渡辺臣将(しげまさ)です。
MAMEHICOを始めて、本格的に料理をするようになって約2年半。
やっと「塩梅」ってものが、ちょっと分かってきた気がします。
多くのレシピ本では「塩少々」や「塩、適」としか書かれていません。
MAMEHICOのメニューも、だいたいのレシピが決まっているけれど、味の決め手となる「塩梅」は作り手の感性に委ねられています。
たとえば、MAMEHICO定番のキーマカレーに添えるソテー系のおかず。
まずは、素材の旨味を引き出すためにじっくりソテーして、シンプルに塩で仕上げます。
単体で味見すると「これでちょうどいい塩梅」と感じても、キーマカレーとの相性を考えると、少し控えめにしなければならない。
しかも冷めると味の印象も変わるので、お客さんに出すときの温度帯も考えて、絶妙な塩梅を探ります。
よくスタッフから「シゲちゃん、これって塩小さじどのくらい?」と聞かれることもありますが、「自分で覚えて!」と伝えるようにしています。
その日の野菜の状態や仕込みの量によって、一筋縄ではいかないからです。
だからこそスタッフにはまかない用の味噌汁とか豚汁を作ってもらい勉強してもらっています。
その日の出汁の種類や濃度、具材のバリエーションに加え、味噌汁を主役として楽しむものか、副菜として味わうものかなどシチュエーションも考えながら、一杯ごとに最適な味噌の量、すなわち絶妙な塩梅を見つける大切な練習になっています。
そして、MAMEHICOでの「塩梅」というのは、料理に限った話ではありません。
御影店では音楽ライブを数多く開催しており、僕が音響担当を担っています。
例えばコンプレッサー(音を圧縮する装置)の使い方もそう。
いろんなパラメータを組み合わせて、その日その時の歌や楽器に合った設定を見つける作業は、まさに「塩梅」と同じ。
ちょうどいい圧縮をかければ音が生き生きするし、やりすぎるとハウリングの原因にもなってしまいます。
また、カフェの仕事でも、「今日はたくさんのお客さんが来るぞ!」と朝から張り切りすぎると、すぐに息切れしてしまう。
休みの日の過ごし方にも、ダラダラせずに一定のリズムがあってこそ、パフォーマンスが長続きします。
お客さんとの接し方だって同じ。MAMEHICOの魅力を伝えたいあまり、話しすぎるとお客さんも引いちゃう。
お客さんの様子や状況を見ながら、適切な距離感を保つ。これも一種の塩梅なんです。
そして、MAMEHICO神戸・御影は、夫婦で運営しています。
夫婦で仕事をするって思いのほか、大変なことも多いんです。
家庭と仕事、どちらも愛情という大切な調味料が必要ですが、どうしてもお互いの考え方がぶつかると、ちょっと塩辛く感じる瞬間もあります。
そんなときこそ、ふたりで何度も試行錯誤しながら、時には笑い合って、自然なバランス、すなわち「夫婦の塩梅」を見つけていくんです。
これが、家での温かい雰囲気だけでなく、御影店の魅力につながっていると感じています。
結局、何事も「ちょうどいい塩梅」であることが大切。
MAMEHICOで毎日続く塩梅研究はまだまだ道半ばですが、僕自身は「ちょっと塩っぱめ」がいいね、ってよく言われます。
まあ、控えめな性格の僕にはぴったりの塩梅ということですね。笑
