映画が今やスマホひとつで誰でも簡単に観られる時代になりました。
だから映画館に足を運ぶ人は減っています。
「わざわざ出かけるなんて面倒だ」と感じる気持ちもわかります。
でも、その面倒の先にあるもの——それこそが、ボクたちが日々カフェという場所づくりを通して伝えようとしている「面白さ」や「豊かさ」なんです。
とはいえ、「便利さ」が優先されるいま、その価値をどう伝え、信じてもらえるか。
ボクたちを知らない人に、どうやってボクたちの物語を届けたらいいのか。
そんなことを考えて、ひとりため息をついていたとき、たまたま入日茜さんの歌が流れてきたんです。
「わたしにはこれしかない」という声がまっすぐ響いてきて、「嘘がない」と感じました。
ボクはすぐに連絡を取りました。
やがて彼女は銀座のMAMEHICOに来てくれました。
少し緊張しているようでしたが、大人びた表情の奥に、不器用で負けず嫌いで、傷つきやすくて、まっすぐな少女の顔が見えました。
それは彼女の歌から受けた印象と同じで、ボクは思わず「なんか一緒にやろうか」と声をかけました。
ボクもまたMAMEHICOで孤高な一人旅を続けている者として、同じ道を歩く人には、自然と共鳴してしまうのです。
彼女が「はい」と答えてくれたので、ボクは「cinemusica」という企画を立ち上げました。
舞台は、閉館が決まった古い映画館。
母を亡くした大学生の女性と、映画館のロビーで働く男が出会う。
短い会話を通して少しずつ心を通わせ、やがて死の秘密が明らかになるという物語です。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『シェルブールの雨傘』『男と女』『ニュー・シネマ・パラダイス』など、名作映画の音楽が印象的に使われます。
音楽と映画と演劇が交錯するこの不思議な舞台体験「cinemusica」は、昨年銀座で初演し、ご好評をいただきました。
その後の神戸公演でも多くの方に喜んでいただき、そしていよいよ次は、再び銀座での上演となります。
まだ出会ったことのない物語と音楽に、ぜひふれてみてください。
たくさんの皆さまのご来場を、心よりお待ちしております。

cinemusica
2025.7.6
開場12:00 /開演13:00
開場17:00 /開演18:00
MAMEHICO東京・銀座にて
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