今日の話題は「淋しさと甘え」について。
ボクの周囲にいる若い女の子たち。彼女たちの多くが、いま「先の見えない不安」を抱えているように感じるんです。『脱走兵と群衆』という物語も、そんな現代の迷える子たちをモデルにしてます。
女性にはやはり「子供を産める」という能力を持っているんですね。ところが今の日本、特に東京には、出産適齢期の女性が集まってるわけですけど、ボクの周囲やお客さんを含め、子供を産まない若い女性がとても多い。スタッフなんかを見てもそう。今後産む予定もないし、それでいいとみな思ってる。
何に人生を投ずるのか
生むか産まないか、それはいまの社会では自由でしょう。
けれど本来、子供を産み、育てるほどのエネルギーを持った彼女たちは、子育ての代わりのなにかに自分の人生を投じたいと思っている。もちろんみんな仕事は持ってます。だから「社会システムの一部を担っている」わけですが、どうも「社会システムの一部」だけでは、女の人生を賭けるには物足りないと感じているんではないか。
本人たちはそんなこと言いませんよ。難しい話はしたがらない。
ただ、そういうぼんやりとした思いが、MAMEHICOを支えてくれてる動機になっている気がボクはするという話です。若い女性にお店を手伝ってもらうことを、「タダで働かせてるなんてやりがい搾取だ」と口の悪いヒトは言ってるそうですけど、それは違うんじゃないかな。MAMEHICOで彼女たちが口々にいうのは「自分の成長」です。
自分が成長したと感じているから、「ここは自分が投ずるに値するものだ」と思う。そういう意味で成長の場を求めている。
利他と利己
うちにいる多くの女性に共通しているのは、「ちゃんとしなきゃ」と真面目であることです。無理してでもヒトのために尽くしたいと頑張っちゃう、まるで「天女」のようなヒトたちです。
ふむ。「天女」なんて言うと、とても「利他的」な振る舞いに聞こえますけど、どうもそうでもない。彼女たちの根っこには、非常に「利己的」な動機が潜んでいる気がします。自分がとても成長したいというのも、寂しくてたまらない。それを埋めたいという強い渇望がある気がします。
たいてい話を聞くとその原因は、幼少期の記憶です。お父さんお母さんに構ってもらえなかった。特に「お母さんに構ってもらえなかった」という寂しさ。これが強い。祖父母もいなかった。祖父母はいてくれたとしても、もう祖父母はこの世にいない。いつも明るいけど、本心を打ち明けられるヒトがいない。
人間なんてみな腹を割って話せばそんなもんだ、そう言われればそうかも知れませんよ。ただ、悩んでいるヒトに対して、みんな苦労してるもんだと相対化しても慰めにもなりゃしない。
そして「甘やかされた孤独」
批判してるんじゃないですが、いまの子たちはおしなべて、親や社会から甘やかされています。本人は思うでしょう。
「いろいろと我慢させられてきました。それが、甘やかされてるなんて冗談じゃないわ」と。
「わがままも言わず、厳しさに耐えてきましたよ」と。
共働きの母親には、仕事を優先して子供を放っておいたという「後ろめたさ」があるものです。だから、接する短い時間は干渉的で甘くなるものです。どこかで演じてしまうわけですよ、「物わかりの良いお母さん」を。父親の存在が薄いというのも共通しています。
結果、きちんと叱られた経験がないままの大人が育つ。マイナスの「経験値」が不足していますから、社会が用意した「テンプレート」の上では賢くルールを理解し、うまく振る舞えるけれど、いざという時にあたふたしてしまう。
「寂しい」という感情と、「厳しくされずに甘やかされてきた」という事実、これがごっちゃになってしまって混乱します。親には良くしてもらったから、親殺しもできない。そうこうしているうちに、状況は独身、子供もいない、「果たしていまの仕事に人生を投じていいのだろうか」、そんな葛藤が続きます。
寂しいほうが儲かる社会、依存と自立
でもこれ、経済にとっては都合が良いと思うんですね。独身女性が寂しさを紛らわすために、どんどん消費する。一人暮らしなら、テレビもカーテンも人数分売れるしね。もっといえば、なにも若いヒトに限らず、いまの高齢者の生活にも似たような背景を感じます。
語弊を恐れずに言えば、「寂しくさせておいた方が儲かる」。ドラッグストアが心の拠り所になるような生活。「危ないからダメ」と守られ、自分の中にある「生命力」を養う機会も失われ、生命力が衰え、そして寂しい。そうなると、ヒトは何かに「依存」する。
世の中には、この依存させるにはぴったりなビジネスが溢れている。寂しさを埋めるようなものへ、うまく誘導されてしまう。ビジネスとして考えれば、MAMEHICOに依存してもらう仕組みを作った方がいいのかもしれない。でも、ボクは嫌なんですね。依存しないで欲しいと思う。依存されるとめんどくさいし、それよりもみんなで自立して色々と考えて欲しいんです。
今年はもっとたくさんMAMEHICOに関わってほしいと思ってます。けれど、依存はしないで欲しいっていうのは、非常に難しい課題です。今年は、この課題に挑戦したいと思ってるんですね。



