先日、あるヒトが泣き顔でボクにこう打ち明けてきたんです。
「この歳まで、ずっと消化試合みたいに生きてきてしまったの。若いときから困ってたけど、もっとヒトに頼ればよかったのかもしれません。ただ、どうしたらいいかわからないまま、スカした顔してほっといて、今日まで時が過ぎてしまったわ。いまようやく、色々と頑張りたいのに、まったくなにもできない自分がいて。逃げ回ってたツケが回ってきて、重くて苦しい」と。
なるほどですね、苦しそうですなぁ。
ボクは、こういうヒトをたくさん見てきたんです。
だから、またこのパターンかとしか思いません。
若いころ逃げた分だけ、あとで苦しくなる。
それは間違いなく、ひとつの真理です。
ようやく頑張ろうと思ったときには、自分が不甲斐なく、それが苦しく耐えきれず、また逃げてしまう。
そういうヒトをイヤというほど見てきたんで。
残酷ですが、ボクが知る東京という街はそういうものだと思います。
若いスタッフと付き合ってると、やれ恥ずかしいとか、失敗したくないとか、他人の目が気になるとか、いろんな理由をつけてとにかく逃げます。
「ちょっと考えたら」とか「今は時期じゃないのかもね」と、周りも無惨なほど無責任な慰めを吐いて、本人の歩みを止めさせます。
あのね、立ち止まって考えるんじゃなくて、走りながら考えるものなんですよ。
止まってたら、周りの状況はどんどん変わってしまって、その分遅れて、またきつくなるんですよ。
ボクが気になっているのは世の風潮です。
「質」を気にする集団は、ヒトを育てません。
できるヒトを連れてきて、使えなくなったらポイ。
この数十年、東京に余裕がなくなってきてるからか、いまは使い捨てばかりだと、あちこちの業界で働くヒトから聞きます。
ボクはMAMEHICOにしかいないからよそは知りませんがね、どこも似たような話をしますから、そうなのでしょう。
だとしたら、若いヒトにはキツイ時代です。
とにかく、経験が大事なんです。
できないヒトほど、聞いて理解すればできると大いなる勘違いをしています。
聞いて理解してできるくらいなら、誰も苦労しませんよ、バカモノ。
とにかく量をこなす。質は、そのあとにしかやってこない。
質を気にして量をやらないというのは、乾いた麺を食べた後にお湯を沸かすくらい、ナンセンスです。
スピード、量、質の順です。まず動く。遅い時点でアウトです。
若い者同士で冷笑しあって、牽制しあって、「ダサいダサくない」と笑っているうちに、あんたたち全員が弱くなっていくけどいいの?
それこそがいちばんダサくないの?
いま、MAMEHICOではメンバーを中心に、いろいろな班を作って、そこに参加してくださいと、積極的に呼びかけています。
みなさんのところにもメールが届いているでしょう。怪しい勧誘の。笑
今度「面白可笑ひこ」という文化祭のような催しをやります。
MAMEHICOの中にひとたび入ると、まあ色々やらされるわけですが、「できないから」と冷笑したりする雰囲気ではありませんから安心してください。
むしろ、怖がって手を出さないヒトの背中は、積極的に押せとボクが言ってますから、そこは気をつけて。
背中を押されるのが嫌なら、関わらないほうがいい。互いに不幸です。
MAMEHICOは経験の場として機能させたいんです。
遠巻きに見ているだけなら、徹底的にお客さんでいればいい。
でも関わりたいと思うなら、怖くても一歩を踏み出さないと意味がない。
踏み出せば視座が変わります。
べつに怖がってもいんです。
けど、いまの世の中、背中を押してくれる場所が本当に減っています。
だからこそ、ほんとは押されてみたい、変わりたい、というヒトには、ぜひ「面白可笑ひこ」を観に来てほしい。
そして勇気を出して、ボクを訪ねてください。
もしくは「始めて、続ける」というボクが話すイベントもやってます。
そこで、ボクに背中を押してほしそうな顔をしてください。
MAMEHICOはいま、いろんなことを走りながら変えています。
タイミングが合うヒトとは、積極的に出会いたいと思っています。
逃げない。走りながら考える。
互いに良き出会いがあるといいですね。

小さな店として始めて二十年。「MAMEHICOの大切にしている10のこと」をご紹介しながら、続けることの意味をお話しします。



