静かに芽生えるもの

こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの前島由紀です。

先日、井川さん主催の会「始めて、続ける」に、19歳の姪を連れて参加しました。
この会には毎回、年齢も背景も違う人たちが集まり、井川さんはその場の顔ぶれを見ながら、雑談のようにお話を進めていきます。
特に“何かが得られるセミナー”というわけではありませんが、不思議と、その人の中に眠っていた何かが、ふっと目覚める瞬間があります。

井川さんが三軒茶屋でお店を始めてから20年。
その間に出会った人々、別れ、経験から見えてきた日本や世界、食の問題など、さまざまな話題が次々と飛び出してきます。

私は以前、井川さんのお話を聞いているうちに、私の中の幼い頃の記憶の扉がパカパカと開いたことがありました。
私の原風景は、社宅の小さな団地と、あの頃の昭和の空気だったんだと気づかされた瞬間です。

私が子どもの頃は、暗くなるまで外で遊ぶのが当たり前でした。
社宅に住んでいた年齢も違う子たちと、公園や建物の陰での鬼ごっこやかくれんぼ、空き地の草花で遊んだり。
何にもなくてもいつも十分楽しかったのです。

大人と子どもにはそれぞれの世界があり、大人は大人の話をし、子どもには子どもの世界がありました。
それでいて、近所のおじさんやおばさんがどこかに必ずいて、放任だけどどこか守られているような、そんな時代でもありました。

近所の家に遊びに行くことで、家庭ごとに違う匂いや味があることも知りました。
バラックのような家にお母さんと2人で住む子、子どものいない夫婦、お母さんが働く家。
お隣にお使いを頼まれたり、夕飯のおかずを持って行ったり、時には夕食に呼ばれることもあって、よその家の味や温度に触れることで、世界が少しずつ広がっていったのです。

そんな記憶のずっと先で、コロナ禍を経て生きているのが姪の世代です。
彼女は今年高校を卒業し、4月から新しい学校へ進みました。
彼女たちが生まれたときから身の回りにあるのは、iPadやスマホ、空調が効いたマンションや学校です。
子どもは少なく、集まりでは子どもが中心に扱われることが多く、忙しい大人の代わりにコンビニや外食が生活を支えてきました。

そんな姪が井川さんの話を聞いて、驚くほどたくさんの“自分の知らない世界”に触れました。
何かを感じてくれていたら嬉しいなと思います。

井川さんの会「始めて、続ける」は、銀座、三軒茶屋、神戸店で定期的に開催しています。
一期一会の出会いではありますが、参加された方それぞれに何かを受け取るものがあると思います。
ぜひ、思い立ったときに、お茶を飲みに来ていただけたら嬉しいです。

 

始めて続ける
2025.12.18
カフエマメヒコ三軒茶屋店にて
2025.11.23
MAMEHICO神戸・御影にて