ボクの一人芝居『脱走兵と群衆』の公演が続いています。
お芝居が終わったあとね、そのまま真っすぐ家には帰れないんですよ。
なんだかこう、自分に「憑いているもの」をパッと落としてからじゃないとね。
最近は有楽町の高架下にある、昭和39年から続いている焼肉屋さんによく寄っています。
マダムが仕切っていて、雰囲気がすっかり昭和でね。
昔ながらのお店というのは、やっぱり落ち着くものです。
この『脱走兵〜』、9月から始めてもう半年近くになります。
ボク自身、一つのことをこんなに繰り返した経験がないから、飽きるかなあなんて思っていたんです。
でも、一度も「ああ、同じだな」と感じたことがない。
不思議なことに、全く飽きないというわけです。
ここ数回、お客さんがお一人だけという回が何度かありました。
やる前は「気まずいなー」なんて思うんですけど、いざやり始めると、たった一人の観客でも、だんだんとこちらのペースに乗ってきてくれたのが分かる瞬間があるのね。
そうなるとカタルシスがあって、やりがいを感じる。
どんなことでも、ボクはまず手探りで始めてみることにしています。
お客さんが来ないなんていう事態も当然起こるわけです。
でもね、始めるからこそ、そういう「失敗」が経験できる。
そこで初めて「じゃあ次からはどうしよう」って考えられるわけじゃないですか。
失敗が怖いから準備を完璧にしてから…と思いがちだけど、結局どんなに準備したって、失敗をゼロにすることなんてできないわけでね。
ボクは MAMEHICO も、銀座店も、紫香邸も、そして 神戸・御影 も、全部とにかく雑に始めちゃうんです。
実際に動き出してみれば、事前に想定していたリスクなんて、ほとんどが的外れ。
むしろ起きる問題は想定外のことばかりですし、結局、思っていたほど辛くないことのほうが多い。
結局、雑に始めてみないことには、何も分からないというわけですよ。
だから、やる価値があると思ったら、直感に従って「雑でいいから」始めた方がいい。
大事なのはスピードです。パッと始めて、とにかく試行錯誤の回数を重ねる。
そのスピードこそが、結果的にボクたちを正解に近づけてくれる。
今の時代、AIがどんなに答えを出してくれても、「やるかやらないか」だけはAIにはどうにもできません。
結局は、自分が動くか動かないか、それだけなのね。
ヒトからの批判も、自分の中の反省も、すべては始めてからしか生まれませんから。
「脱走兵〜」でボクがやってることといえば、まず髭を剃って、メイクをして、アイラインを引いて、カツラをつけて、マイクを仕込んで、ストッキングを履いて(笑)。
そういえば最近、スタッフが買ってきてくれたチークがすごく良くて、気に入ってるの。
たとえお客さんが一人の回でも、「今日はいいチークに出会えたな」と思うだけでテンションが上がったりもする。
こういう些細な喜びも、始めてみないと出会えないものでしょう。
雑にやり始めても続けていけば、周りのヒトたちがどんどんブラッシュアップしてくれます。
整えることを優先して、始めるのを後回しにするより、やりながら整える。
特に20代や30代のうちにこのクセをつけておかないと、どんどん動けなくなりますよ。
歳を取れば、やらない理由なんていくらでも見つけられますから。
3月から銀座でも新しいことを始めますが、これもボクは雑に始めるつもりです。
もし同じように、雑に何かを始めてみたいというヒトがいたら、ぜひ一緒にやりましょう。
天才よち丸ラジオ/vol.626 雑に始める



