こんにちは。MAMEHICO神戸・御影 店長の渡辺 臣将(しげまさ)です。
この春から御影店で始まった「チキンカレー」、おかげさまでご好評をいただいています。
「チキンカレーってこんなに美味しいんですね!」と言ってくださる方もいて、とてもうれしく思っています。
もちろん、使っている食材やスパイス、仕込みに至るまで、どれも手間を惜しまず、真剣に取り組んでいます。
でも、僕たちが目指しているのは、「味や見た目の派手さ」で驚かせることではありません。
大切にしているのは、「配置」です。
これはMAMEHICO代表・井川さんの言葉でもありますが、「美味しさとは、配置である」と。
とろり、ふんわり、サクッ、シャキッといった食感のコントラスト。
甘い・しょっぱい・すっぱい・辛いといった味の掛け合わせ。
それぞれがバラバラにあるようでいて、口の中で一緒になったときに、ちゃんと調和する。
この“口中調味”のバランスを、僕たちはとても大切にしています。
それらが自然に混ざり合い、口の中にリズムを生むように整えていく。
それこそが、僕たちMAMEHICOが考える「美味しさ」だと思っています。
たとえば、チキンカレーに添えている「マッシュポテト」。
北海道産のじゃがいもを茹でて、手作りのマヨネーズと牛乳、塩だけで仕上げたシンプルな副菜です。
この塩加減には、実はひそかな計算があります。
マッシュポテトだけを味見すると、「もう少し塩気があってもいいかな」と感じるくらいにとどめておく。
でも、それをチキンカレーと一緒に食べると、ふっと舌の疲れを癒す“味の逃げ場”として、ちょうどよくなる。
全体のバランスを見据えて、あえて引いた塩梅にしているんです。
たまねぎのアチャールも同じ。
しっかりとした酸味とスパイスが効いた、ちょっと刺激的な副菜です。
単体でも箸が止まらなくなる存在感ですが、チキンカレーと合わせると、そのコントラストが味の輪郭をぐっと際立たせてくれます。
それぞれが自己主張しているようで、どこか控えめ。
でも一緒に食べると、まるで一曲の中で旋律と伴奏が調和するような、ひとつのまとまりになる。
そんな「配置」こそが、MAMEHICOの料理の特徴なのです。
お店の空間づくりや、スタッフの動き方も、実は同じようなことを意識しています。
誰が前に出て、誰が支えて、どこで音を出して、どこで間を取るか。
それが自然と整っていると、お客さまにとっても、居心地のいい時間につながる気がしています。
チキンカレーという料理もまた、そんな調和のひと皿。
カレー、たまねぎのアチャール、マッシュポテト、グリーンサラダ、にんじんのラペ、トマトのマリネ。
それぞれが支え合い、引き立て合って、完成する一食です。
ぜひ、その「配置」を感じながら、召し上がってみてください。
食べ終えたあとに、ふと心に残るような、そんな一皿であったなら。
それが、僕たちにとって何よりのよろこびです。
