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狂った社会

こんな言葉があるんですよ――「この社会は狂ったヒトたちによって動かされている。そしてそれを口にすると、お前の方が狂っていると言われる」と。
誰の言葉だったか、出所はもう曖昧なんですが、ずっと頭のどこかに置いている言葉なんです。

「狂人が正気のふりをして、それを指摘した正気のヒトを狂人扱いする。
そして、その構造そのものが狂気なんだ」という話ですね。
この言葉を口にしたヒトは暗殺されてしまったとも聞きましたが。

ミルグラムの服従実験というのがあります。
別名アイヒマン実験――ナチスの戦犯アイヒマンが「命令に従っただけ」と弁明したのを検証するために行われた実験です。
参加者は「教師役」として、別室の「生徒役」が問題を間違えるたびに電気ショックを与えるよう指示される。悲鳴が聞こえてきても、白衣の研究者が「続けてください」と促すと、ためらいながらもボタンを押し続けたヒトが多数いた。
真面目で責任感の強いヒトほど、従いやすい。特別に残虐な性格でなくても、誰もが権威への服従によって残酷な行為の担い手になってしまう。
――それがこの実験で示されたことです。

一対一で向き合えば、人間の中には必ず良心がある。
でも、組織や権威構造が入り込んでくると話が変わる。役割を与えられて「機能」として動くとき、ヒトは平気でヒトをガスで殺せるようになる。
「自分がノーと言っても、どうせ誰かがやったはずだ」「悪意を持ってやったわけじゃない、やらされただけだ」と自分を正当化してしまう。

一人ひとりは無力です、それはわかる。
でも。本当は、みんながおかしいと思えばほとんどのことは止められるはずなんですよ。
指示するヒトが一人二人いたとしても、実際に動くヒトの数は圧倒的に多いわけだから。
それなのに、個人が「役割」に埋没してしまうと、誰も声を上げず、誰も止められないまま社会は暴走していく。
そこをなんとかしないと、社会は良くならない、幸福な世界は来ないんですよね。

MAMEHICOでもそうです。
売上を追う、客数を追う、数値目標が与えられた瞬間にヒトは「数を大きくする機能」になってしまうものです。
目の前の一人ひとりの顔が見えなくなるから。
医療でも、よかれと思って始めたものが、売上を追ううちにおかしな方向へ進んでいってやしませんか。
お金というのが一番のドラッグかもしれませんね。
一刀両断にできない、難しいドラッグです。

狂った社会なんて口にすると「お前の方が狂ってる」と言われるかもしれません。
でもボクは、この社会は狂ってると思う。
「え?お前だろ、狂ってんの?」、なるほどなご意見をお待ちしています。

 

天才よち丸ラジオ/vol.631 忘却の彼方