紫香邸が二日間だけ、洋食屋になるというイベントをやりました。
今回は「洋食屋」は冬に続いて二回目だったので、準備もメニューも、前よりずっとよくできたと思ってます。けど、終わってみると、「もっとうまくできたよな」と、いろんな反省が浮かんでくるものです。
たとえば、ハンバーグの焼き方。
前回の反省をふまえて、火の入れ方を工夫して、今回は仕上がりもよかった。
でも、今回は蓋をして焼いたぶん、蒸気がこもって、ちょっとやわらかくなりすぎた。
たまねぎや牛乳、卵を、もう少しギリギリまで減らしてよかったかもしれない。
崩れずに形を保ちながら、食感もしっかり出す。
そのバランスを、もう一歩詰めれたなという気がしてます。
やってみることで、前には見えてなかったことが見えるようになる。
だから、反省ってのは、経験したからこそ出てくるんですね。
頭で考えてるだけじゃ、気づけなかったことばかりです。
集客も、今回は前回の半分くらいだったんです。
でも、そもそも紫香邸って、桐生の街に食や文化で集まれる場所があったらいいよね、というところから始めたわけで。
だったら、もっと魅力を磨いて、わざわざ来たいと思ってもらえるようにしていかないといけない。
まだまだ足りてないってことなんだと思います。
一つひとつ積み重ねていくしかない。
うまくいったり、いかなかったり、そういうのを全部引き受けて、向き合って、また次をやる。
ボクたちは、そういうふうに歩いてきたし、これからもそうやっていくんだろうと思う。
庭に出てみたら、杏の木があって、実がなってたんです。
古くて小さな木。
実も不揃いだし、虫に食われたのもある。
でも、よく見ると、ちゃんと可愛らしいオレンジの実がなってるんです。
それを収穫して、傷んだところを切り落とし、小鍋でジャムにしてみました。
砂糖と一緒に煮ると、果肉は透き通るような橙色になって、甘酸っぱい香りがふわっとキッチンに広がりました。
きっと去年も一昨年も、同じように杏は実をつけていたはずです。
でも、紫香邸にいたボクたちは、そのことに気づけなかった。
木の存在は知っていたのに、ちゃんと見ていなかった。
視点がなければ、どれだけ目の前に価値あるものがあっても、それに気づくことも、手に取ることもできないものです。
イベントが終わるころ、宅配便の段ボールが届いて、開けてみたら糸島から梅がいっぱいに届きました。
今年の梅シロップは紫香邸で漬けます。
梅を漬ける。紫陽花が彩る。いよいよ梅雨の装いです。
