その一歩が店をつくる

MAMEHICOでは、9月と10月に「タダヒコ」という日を設けます。
え、「タダ」?──そうなんです。「タダ」なんです。
その日だけ、珈琲やデザート、食事のいくつかを無料で提供しようと思ってます。

「タダヒコ」、毎年、毎年、かれこれ10年近く続けてるイベントなんですけど、「なんのためにやってるんですか?」って、これまでに何度も聞かれてきたんで、今年も、2025年版「タダヒコってなんでやってるんですか」の回答を。

お店って、「買ってくれるヒト」がいて成り立ってますよね。
けど、じゃあ「どうやって買ってもらうか」っていうのは──魅力的な商品を、魅力的な価格で。

そりゃたしかにそうなんですけど、もうこれ、ほんと大変です。
今の時代、どこでも、安くて、早くて、便利にモノは手に入る。
味もサービスも、日本中がすごく標準化されていて、たとえば珈琲ひとつとっても「どこで飲んでも、さほど変わらない」みたいな感じになってます。

そんななかで「MAMEHICOの珈琲はとびきり美味しいですよ」と自画自賛して言っても、「まぁ、たしかにね」というくらいの反応しかお客さんからは返ってこない。
駅直結のビルに、真新しいカフェがひしめき合ってる東京で、「モノ」で勝負はほんと難しいなと思います。

ボクがMAMEHICOをやめようかなと思うのはいつもそこです。
求められていなければ、ボクたちは残れないんですから。
求められる「モノ」を提供できる自信が、ボクにはないわけです。

一方で、人と人の関係はどんどん薄くなってきてますね。
たとえば大手のチェーン店。
オーダーも無人、レジも無人。
店員とほぼ関わらず、気をつかわずに利用できる店が、ここ最近どんどん増えてる。
ボクもそういう店に入ることあるし、たしかに「便利」ですけど、「快適」かどうかって言われると、ボクはそう思わない。

そういうお店って、やっぱり汚れてたりする。
どうしたって、無人に近いオペレーションにすれば、そこまで店員が目を配れないからです。
いずれお掃除ロボットがその肩代わりをするんでしょうか?

さて、となるとですよ。
ボクらMAMEHICOにできることは、ボクたちが快適と感じる雰囲気を、しっかり守っていくことしかないじゃないかと思うわけです。

そのためにボクは「当事者」を増やす、そういう風に、もう何年も前からことあるごとに言ってます。
(そんなこと知らねーよ、でしょうけど)

「当事者」と感じているスタッフやお客さんがいないと、MAMEHICOという空間はすぐに淀んでしまいます。
だから、ボクは「当事者」と感じてくれるスタッフやお客さんを、少しずつ増やし、大切に育てていきたいなと思ってるんです。

つまり「タダヒコ」は、その入り口です。
実際、タダヒコの日には、いろんな方が来てくれます。
何年ぶりかで顔を出してくださるヒトもいれば、たまたま通りがかって「え、タダなの?」と驚いて腰抜かして入ってくるヒトもいる。

中には、「ちょっと手伝ってもいいですか?」って言ってくださるヒトもいます。
お茶を配ったり、空いたカップを下げたり、入口で「こんにちは」と声をかける。
MAMEHICO側に立つと「当事者」と感じてくれるヒトが、少しずつ増えていきます。

ボクたちも手伝ってくれるのは嬉しいし、手伝ってくれた方も、自分が役に立てた、という実感が持てたのかな、「楽しかったです」って言ってくれるんですね。
(そういうのを楽しいと感じてくれるヒトが参加してくれてるんでしょうけど)

ボクは、これはとても素敵なことだと思っていて、「タダヒコ」に限らず、ボクたちは「お客さん」から「当事者」へを続けているんです。

次回の「タダヒコ」は、下記日程で、MAMEHICO銀座店にて開催します。
今年は5日間、連続でやります。

【開催日】
10月2日(木)、3日(金)、4日(土)、5日(日)、6日(月)
11月20日(木)、21日(金)、22日(土)、23日(日)、24日(月)

【時間】
10:30 開店(閉店時間は通常どおり)

【内容】
・店内で一部メニュー(コーヒー・焼き菓子など)を無料で提供
・数量限定/売り切れ次第終了
・予約不要/先着順

これを読んで、気になって、お店に足を運んでもらえたら幸いです。
あわせて、店内のお手伝いに参加してくださる方も募集中です。
ご参加、お待ちしています。

 

お手伝い募集締切
第1期 〜9/18(木)まで
第2期 〜11/6(木)まで