エトワール★ヨシノさんへ
こんにちは、MAMEHICO神戸・御影スタッフの池田さくらです。
何年か前のこと。御影店のライブで、ヨシノさんが「ずっと我慢を強いられてきたお長女ちゃんに向けて歌います」と歌い出した瞬間、私にとって、まさに不意打ちでした。
それはヨシノさんの作品『お長女ちゃんの唄』でした。
長女という存在のせつなさ、そして理想の父親の目線が描かれた歌なのですが、その瞬間、歌詞が一つ残らず私の胸の内に入ってきました。
「これは、わたしの歌だ」。
じつは私はいまどき珍しい7人兄弟で、その一番上の長女なんです。
物心ついた頃から、もうすっかり「お長女ちゃん」で、小さな妹や弟たちの面倒を見るのが当たり前でした。
歌を聞くまでは『さみしい』なんて感じなかった私でしたが、歌を聞いた途端『さみしさ』が堰を切ったように溢れ出し、
「わたしもひとりじめしたかった。わたしだけを見てほしかったの」
という感情が次から次へと溢れて涙が止まらなくなりました。
まさに長く抑えていた栓が取れて吹き出していくような、どうしようもない大きな混乱に襲われ、あの日のライブは終わったのです。
私にとって、『お長女ちゃんの唄』はどうしようもないほどの衝撃だったのです。
1
明るく笑って
ニコニコしている
エライのよ
お長女(ねえ)ちゃん
ワタシはおしゃまな
お長女(ねえ)ちゃんなの
柔らかい乳房
赤ちゃんに取られて
ほんとはね寂しい
だけど泣いたりしない
甘えないよ
良い子でいるもん
さみしい
お長女(ねえ)ちゃんの唄
ふたり手をつなぎ
夜の道歩いて帰ろう
肩ぐるまもしてあげよう
かけっこも
ひとりじめの宇宙
我慢をさせたね
ごめんね
いつもお長女(ねえ)ちゃんのおかげ
ありがとうお眠り
お長女(ねえ)ちゃんの唄
2
しっかりきちんと
クヨクヨもしない
頑張るの
お長女(ねえ)ちゃん
ワタシはおしゃまな
お長女(ねえ)ちゃんなの
突然どっかから
赤ちゃんがやってきた
もちろんねかわいい
だけど赤ちゃんなんか
いなくなって
死んじゃえばいい
せつない
お長女(ねえ)ちゃんの唄
ふたり手をつなぎ
夏の道
走って帰ろう
アイスが溶けてこぼれる
ワタシだけ
ひとりじめの宇宙
我慢をさせたね
ごめんね
いつもお長女(ねえ)ちゃんのおかげ
ありがとうお眠り
お長女(ねえ)ちゃんの唄
明るく笑って
ニコニコしている
えらいのよ
お長女(ねえ)ちゃん
ワタシは泣いたりしない
甘えないよ
良い子でいるもん愛しい
お長女(ねえ)ちゃんの唄
MAMEHICOで働くようになり、お店をつくる一員として過ごす中で、少しずつ私自身、自分が変わってきたように思います。
ヨシノさんから、「いつか、さくらさんに向けて『お長女ちゃんの唄』を歌いますね」、かつてそう言っていただいたことがありましたね。
そして先日、催された「エトワール★ヨシノコンサート」。
そこに私は、両親とすぐ下の妹、それから私の娘──を招待しました。
テーブルには深煎珈琲、独創紅茶、梅サイダー、ガトーショコラにチーズケーキ。鮭と牛肉と唐揚げと幕の内のお弁当。MAMEHICOメニューをずらりと並べて。
父はお弁当を食べてビールを飲み、気持ちよくうたた寝してました(すみません……)。
ステージに呼ばれた母は、買ったばかりのヨシノブローチを胸に、ヨシノさんにいじられてステージへ。
そして腕を組んでなぜか踊っている。それを見て笑う妹と娘。
一緒に楽しんでくれているお客さんやスタッフのみんな。
そしてコンサートの終盤に差し掛かった頃、ヨシノさんは『お長女ちゃんの唄』を歌ってくれました。
あの時間、お店はまるごと、ヨシノさんがつくってくれた私のための「小さな宇宙」でした。
──あっ、これって独り占めの宇宙だ。
忘れていた約束まで叶えてもらい、両親にかまってもらえなかったという持て余していた大きな大きな悲しみは、いつの間にか、ころんと手のひらに置けるくらいになっていました。
ヨシノさんに出会えて本当によかったです。
私のような「お長女ちゃん」たちに、この歌が届いてほしいです。
そしてたくさんの人がヨシノさんに出会えるよう、これからもお手伝いしたいです。
来年も東京、神戸と数多くの公演が予定されているそうですね。
本格的な冬がもうすぐやってきます。どうぞご自愛ください。感謝と尊敬を込めて。

エトワール★ヨシノ友の会
日時:12/14(日)11:00〜13:00
12/25(木)18:00〜20:00
場所: MAMEHICO銀座
会費: 無料(ワンドリンクオーダー)
お申込み: お電話(03-6263-0820)または店頭でスタッフまで



