冷たい空気とともに

こんにちは。MAMEHICOのなかじゅんこと、なかがわじゅんこです。
もう10年近く、MAMEHICOで、毎日なにかしらを作っている私です。

今シーズンも、パイ生地の仕込みが始まりました。
すでに店頭ではアップルパイをお出ししていて、みなさんもう召し上がっていますよね!?笑

このアップルパイのパイ生地は、もちろん私たちの手作りです。
材料は薄力粉・バター・砂糖・塩・水だけという、とてもシンプルな配合なのですが、それゆえに難しい。

特に、大量に使うバターを絶対に溶かさないように扱うのが最大のポイントです。
まず、1センチ角に切った冷えたバターを粉に入れ、カードでひたすら切り混ぜます。
バターが米粒ほどの大きさになるまで、ただひたすら切る。
ここでバターが少しでも柔らかくなると、もう失敗の道まっしぐらです。

その後、冷水を加えてひとまとめにし、生地を押しては切り、重ねては折る──この作業を繰り返し、パイ特有の“層”を作っていきます。
手の温度も、作業場の温度も、高すぎてはいけません。
生地がだれるとすぐに食感に影響してしまうため、キッチンは冬のようにひんやりしているほうがちょうどいいのです。

宇田川町店があったころにパイ生地作りを教えてもらってから、もう何年も経ちました。
ようやく緊張せずに仕込みができるようになりましたが、ここに来るまでの失敗は数えきれないほどです。
「この生地じゃ使えない」「バターが溶けてる」「まとまらずボロボロ」……何度も作ってはやり直し、その積み重ねで今があります。

仕込みに慣れた今でも、いつも同じ仕上がりとは限りません。
ふわっと軽やかにできる日もあれば、「今日のは少し硬いな」と感じる日もある。
毎回が研究で、毎回が挑戦です。

それでも、いつでも安定して美味しいパイ生地を。
そして、香りよく焼き上がった美味しいアップルパイを目指して、心をこめて作っています。
たくさん焼いていますので、ぜひ食べにいらしてくださいね。