秋の庭で、息を合わせて

はじめまして。MAMEHICO東京メンバーの野谷瑠美と申します。

先日、群馬・桐生にある紫香邸の「庭づくり遠足」に参加してきました。
古民家カフェという言葉に惹かれたのがきっかけで、庭仕事はこれが初めての経験です。

築90年の古民家を改装した紫香邸は、和と洋がほどよく混ざり合った、とても美しい建物。
そんな素敵な古民家カフェにお茶をしに行くのではなく、手入れのために地元や東京からお客さんが集うのが、MAMEHICOの「庭づくり遠足」です。
年齢も背景もさまざまな人たちが、どろどろになりながら一緒に作業します。

10月は夏の暑さもやわらぎ、紫香邸で過ごすには最適な季節とのこと。(なんとエアコンがないのです。)
今月の作業は、縁側のある畳の部屋から見える庭の手入れ。
縁側、池、玄関まわりの花壇の草取りをして、シャベルで土をほぐし、畑の土を混ぜてから季節の草花を植え替えました。
最後に、仕上げのように黄色い砂を表面にまいて完成です。

土をひたすら掘ったり、鋭い棘のある木を剪定したり。
1立米の砂の山、電動ハサミなど、初めて見る道具がたくさんあって新鮮でした。
土の匂い、秋の木の実の赤い色、時折聞こえてくるピアノの音。
普段の生活ではなかなか使わない五感が、じんわりと刺激されていきます。
庭がきれいになった時の達成感は格別でした。

作業のあとには、スタッフもお客さんも一緒に食卓を囲んで夕飯をいただきました。
この日のメニューは手作り餃子。
あんには小松菜を使い、たれは神戸でおなじみの味噌だれ。
ほろ苦さと甘みの新鮮な組み合わせが、とても美味しかったです。

それぞれの場所から、それぞれの理由で集まった人たちが、その時にしかない体験を共有する。
そんな即興的な時間もまた、「遠足」ならではの楽しみではないでしょうか。

庭づくり遠足は、紫香邸をいつもと違う角度から見つめ直す、良い機会となりました。
掃除や手入れ、改装などには人の手とお金がかかること。
桐生の街の過疎化により、若いお客さんが少ないこと。
地元の方々の力もまた、欠かせないこと。
紫香邸を守り、続けていくためには、まだまだ課題も多いそうです。

私は、この美しい建物と心地よい空間がとても好きです。
たくさんの人の手と想いが重なり、この先も大切に受け継がれていくことを願っています。
次に訪れるときの、一期一会の出会いも楽しみにしています。

 

【紫香邸をみんなで守り育てたい】
クラウドファンディング立ち上げました。