みなさん、こんにちは。MAMEHICO紫香邸スタッフの原幸子です。
私は6歳のころからピアノを習い始め、音楽の道を歩んできました。
長く音楽教育を受けてきたせいか、「ピアノはこう弾くべき」「ピアニストになるためには」と、常に目的ありきで時間を使ってきました。
コンクールで人と比べられることも当然だと思っていたし、作品をよりよく表現するためにどう練習し、何を観るべきかを常に考えていました。
それが音楽の正しい向き合い方だと思っていたのです。
2015年、22歳のとき。音大に通いながら学外で演奏活動をしていた私は、ある方の紹介で初めて渋谷・宇田川町のMAMEHICOを訪れました。
それがMAMEHICOとの出会いです。
その年の10月、MAMEHICOで上演されていた「ゲーテ先生の音楽会」という音楽劇に参加し、初めて劇中のピアノを担当しました。
普段はクラシックとソロ演奏が中心だったので、役者の動きや場面の空気に合わせて弾くという経験はとても新鮮でした。
井川さんに「まぁ、好きに弾いていいよ」と言われましたが、私は戸惑いました。
楽譜通りに弾くことこそが正しいと思っていたからです。
好きにしていいと言われることが、当時の私にはいちばん難しいことでした。
思考と身体が固まってしまい、全然弾けなかったのです。
それでも、舞台を重ねるうちに少しずつ変化がありました。
ある公演で、会場全体が役者とお客さんの熱気に包まれていく瞬間がありました。
私はその空気に押され、気づけば立ってピアノを弾いていました。
身体が勝手に動いたのです。
引かれるかと思ったら、みんな笑ってくれました。
そのとき初めて、「ピアノは座って弾くべき」という思い込みが外れました。
それからも何度か音楽会に出演しましたが、思うように弾けず選手交代になったこともあります。
それでも、あの体験はいまも私を支えています。
恐ろしいことに、いまでも決まっていないことをやるとき、足が震え、頭が真っ白になってしまうのです。
ほんとに直したいけれど、そう簡単ではないのです。とほほ。
長く続けてきた「模範に従うべきという思考回路」に縛られていた私が、MAMEHICOでの経験を通して少しずつ解き放たれていったのだと思います。
とにかくビビりな私ですが、「まぁ、やってみなよ」と自分に声をかけられるようになったこと。
それが今の私にとっていちばんの成長だと思っています。
これからも音とともに、自分を試しながら歩んでいきます。

ピアノの時間
10/25(土)26(日)27(月)15:00〜
MAMEHICO紫香邸にて
秋の甘味とともにピアノの響きをお楽しみください。



