みなさま、こんにちは。MAMEHICO東京メンバーのにしむらまりなと申します。
いろんな形を模索しながらも、20年という長い間お店を続けることが、どれだけすごいことか——
今、私自身が飲食店を営むようになって、そのすごさを身に沁みて感じています。
私が初めてマメヒコの扉を開いたのは、たしか16歳か17歳の頃。
今33歳なので、人生の半分近く、マメヒコは私の中にあり続けていることになります。
年上の友人に連れられて訪れたカフエマメヒコ渋谷店。
重い木の扉を開けると、少し薄暗くてお洒落で、でもどこか懐かしいような空間。
ひと目で気に入ってしまい、その後は一人でもよく通うようになりました。
マメヒコに来たら必ず頼むもの——
ウィンナーコーヒー(最初のお気に入り)、夏場のアイオレ、冬場は牛乳珈琲。
思い出すたび、浮かんでくるのは好きなものたち、好きだったものたち。
いつも笑顔で、きらきらしている店員さんたち。
いろんな方がいたけれど、みんなマメヒコらしい、柔らかで温かな雰囲気で迎えてくれました。
温もりのある大きな木の机。そこに座って、季節のお花を見ること。
渋谷店の趣向の違う、ふたつのお手洗い。
夏の銅グラス。クリスマスに現れるピエロのシュガーポット。
種類がときどき変わる、美味しいオリーブオイルとバルサミコ酢。
もちっとした薄い褐色の小さな食パンに、分厚いベーコンとチーズがのったトースト。
そして、マメヒコで食パンを焼き始めた頃の、真っ白で少しミルキーなあのパンも大好きでした。
数えきれないほどのカレー。付け合わせの野菜たち。
とんかつ、とんかつサンド、贅沢したい日はとんかつカレー。
そば粉のガレット(ハムレット)。
チョコとりんごのケーキには、ふわっとしたチョコレートコポーがのっていた。
ずんだロール(ずんだ嫌いだったのに食べられるようになった!)。
レアチーズに杏のジャム。
そしてもちろん、檸檬ケーキとカンボジアプリン(私はチーズのクリームより生クリーム派!)。
——まだまだ書ききれません。
今は、毎年お馴染みの味に出会えることのありがたさを噛みしめていますが、あの頃の実験のようにいろんなものを作って、ころころメニューが変わっていたマメヒコも大好きでした。
わくわくして、何を食べてもおいしくて、通うのが楽しくて仕方なかった。
私は高校生の頃から、梅仕事をしたり(おばあちゃん子でした)、お菓子を焼いたり、料理をしたりしていました。
「いい素材を、丁寧な仕事で」。
マメヒコのスタンスは、もともと私に合っていたのかもしれないし、むしろマメヒコに育てられたのかもしれません。
それくらい、私の“食”の根っこには、マメヒコがある気がしています。
一時期、マメヒコから足が遠のいたこともありました。
渋谷店から宇田川町店へとリニューアルされて、知らないお店になってしまったような気がして寂しくなり、大学で生活の拠点も少し離れたこともあって、数年ほど行かなくなりました。
そんなある日、原付で並木橋あたりを走って帰宅しているときでした。
なんの前触れもなく、ふと「マメヒコに行きたい」と思ったんです。
思い立ったが吉日。そのまま渋谷へ向かい、数年ぶりのマメヒコへ。
顔なじみのスタッフさんがいたかどうかは覚えていませんが、高校生の頃に通っていたマメヒコとは違っていたけれど、それでも、たしかな“安心感”がそこにありました。
そして何より、こんなふうに時を経ても「また行きたい」と思わせてくれるマメヒコって、本当にすごい。
その感動は、いまでも鮮明に覚えています。(ちょっと他人事のような感覚でもありますが)
今、私は会員制の小さなバーを経営しています。
確かな“良いもの”と心地よい空気を、気心の知れたお客様に提供する。
そうしている今の自分の仕事は…、いや、間違いなく、マメヒコから多大な影響を受けていたのだなと。
今回、あらためてマメヒコへの思いを言葉にしてみて、そんなふうに腑に落ちました。
改めて、20周年おめでとうございます!
この先、25周年も30周年も、一緒にお祝いできたら嬉しいです。
いつかまた渋谷に戻ってくることを、心から願っています。笑
大好きなマメヒコのこと、これからもずっと、微力ながら応援しています。



