磨きあげて、旨味となる

こんにちは。MAMEHICO神戸・御影 店長の渡辺臣将(しげまさ)です。

御影店限定の大人気メニュー「チキンカレー」、今日も完売御礼。
ありがとうございます。
お客さまの「美味しかった!」の一言の裏では、実は静かに、とても骨の折れる作業が繰り広げられています。

その主役が、丹波赤鶏です。
丹波赤鶏は、兵庫・丹波の自然豊かな山間部で育てられた銘柄鶏。

一般的な若鶏が40〜50日ほどで出荷されるのに対し、この赤鶏は、なんと平均80日、長いものでは120日もの時間をかけて飼育されます。
そのあいだ抗生物質を一切使わず、海藻粉末や木酢酸などを加えた特別な飼料で育ちます。
広々とした鶏舎でストレスをかけずに過ごすからこそ、肉質は締まりがあり、コク深く、脂のキレもいい。

この赤鶏は、「ブロイラーと地鶏の中間を狙う、“いいとこ取り”の鶏」なのだそう。
地鶏よりも価格は抑えつつ、旨味や食感に一切の妥協がありません。
ただし、脂がのりすぎていないぶん、肉の芯をしっかり引き出してあげる必要がある。

だから僕らは、まず“肉磨き”から始めます。
皮をはぐ、筋を取る、脂をそぎ落とす。
きれいに磨き上げていくこの作業が、じつはとても大切。
赤鶏は骨格がしっかりしているぶん、包丁も鈍ります。

大量に入荷した仕込みの日は、まさに研ぎ澄ました心で挑む“解体の儀”。
ここ神戸のMAMEHICOのキッチンでは「赤鶏祭り」と呼んでいます。笑

そんな丹精込めた肉を、10種類以上のスパイスと玉ねぎと一緒に、じっくり煮込んでいく。
カレーになるまで、ざっと数時間。
でも、手間をかけたぶんだけ、ちゃんと応えてくれる。
それが、この赤鶏の底力です。

ちなみにこの丹波赤鶏、実は「チキンとソーセージのグリルプレート」にも使っています。
皮面をパリッと仕上げつつ、じっくり火を入れていく。
そうすることで、ジュワッと旨味が口の中に広がります。

そんな鶏を、惜しげもなくカレーにも使う。
MAMEHICOはいつも、材料にこだわり、手間暇を惜しまない。
だからもし、チキンカレーを食べていただいたとき、「なんだかお肉が違うね」と感じてくださったなら、それは間違いなく、赤鶏の力と、僕らの仕込みの結晶です。

さあ、また仕込みの時間がやってきました。
今日は、牛刀をもう一段階研ぎましょうか。