こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの原幸子です。
連続ドラマ『ノッテビアンカ』で九重マイコ役を演じています。
普段はカフェスタッフとして、東京と桐生を行ったり来たりしています。
Vol.7 Act.3で特に印象に残っているのは、ノゾミ、ハルエ、クミ、マイコの4人が集まり、纏足の話をする場面です。
纏足(てんそく)とは、かつて中国で行われていた、女性の足を意図的に変形させる風習のこと。
幼い頃から足の指を折り曲げ、布で強く縛って成長を抑え、足を小さく保つ。
足が小さいほど「美しい」とされ、良い家に嫁げると信じられていたそうです。
でも当然ながら、それは激しい痛みと不自由をともなう、とても過酷な慣習でした。
もちろん、当時の価値観と今の感覚を簡単に比べることはできませんし、良い・悪いと単純に決めつけることもできません。
けれど、こんなことが長い間、当たり前のように続けられていたなんて、最初はとても信じられませんでした。
どうしてそんなことを、しかも親が自分の娘にするのか。
でも、よく考えてみると、社会で「正しい」とされていることには、私たちはあまりにも無防備で、「みんながやっているから」「そういうものだから」と、深く疑わずに従ってしまうところがあります。
私自身が、まさにそうなのです。
ドラマの中で、ノゾミがこう言います。
「でも本当に愛していなかったら、失神する娘を前に足を縛るなんてできなかったんじゃないか」
親はきっと、「この子が恥をかかず、困らず、ちゃんと生きていけるように」と願って、纏足を施したのでしょう。
たとえその願いが、結果的に子どもに大きな苦痛を与えることになったとしても。
だからこそ、「みんながそうしているから」ではなく、自分で立ち止まり、考えることの大切さを、この回を改めて観て、強く感じました。
ドラマの中でマイコは、明るくふるまい、冗談を言い、場を和ませようとします。
けれど内心では自信がなく、人の顔色をうかがい、本音を隠して生きています。
誰ともぶつからず、波風を立てないようにやり過ごしてきた結果、どこか成長しきれていない人物として描かれています。
私は、演じているときから、マイコという人物の中に、自分自身がいると感じていました。
ドラマのなかではマイコに次々と不幸が起こり、そのせいで自分の弱さをさらけ出し深く傷つきながらも、少しずつ自分と向き合い、変わっていく。
その過程を通じて、「人は変わることができるのだ」という希望が描かれている。
それが『ノッテビアンカ』の大きなテーマなのだと、私は思っています。
あれから数年が経ちましたが、今の私は、あのとき演じたマイコそのものです。
自分を出し、人とぶつかりながら、「自分とは何か」を確かめている毎日。
その姿を、井川さんの脚本はすでに見抜いていたのだと思うと、今あらためて驚かされます。

連続ドラマ「ノッテビアンカ」
全8話(vol.1〜8 Act.1,2,3/24回)