こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの草ヶ谷美香です。
現在、桐生のMAMEHICO紫香邸でお出ししている「和え麺」には、MAMEHICO特注の玄米麺を使っています。
今日は、この玄米麺がどのようにしてMAMEHICOにやってきたのか、その小さな物語を少しだけご紹介させてください。
私たちMAMEHICOのスタッフは、食事において「美味しさ」はもちろん、その後の体調にもとても気を配っています。
というのも、一年中、長時間お店に立ち続ける私たちにとって、食後に体が重くなることは避けたい大きな問題なのです。
たとえお腹が空いていても、食べたあとに眠くなったり、だるさが出たりするようなものは、自然と避けるようになります。
このあたりの感覚は、少し大げさかもしれませんが、自分たちでもアスリートに近い感覚だな、と思うことがあります。
井川さんもまた同じで、一昨年の夏、「体が重くならない麺」を探し続けていました。
それはもはや趣味のようなもので、さまざまな麺を実際に食べてみては「これは重いね」「これは意外と平気だね」と、自分の体で確かめていたのです。
不思議なことに、小麦がすべてダメというわけではなく、国産だから良い、輸入だから悪いという単純な話でもないそうです。
「結局は、自分の体に聞くしかない」と井川さんはよく話しています。
私もその“実験”が好きで、よく付き合っていました。
特に昨年は福岡に住んでいたこともあり、現地のうどんやラーメン、焼きそばなど、さまざまな麺を試しました。
そんな井川さんの、体を張った研究の延長線上で出会ったのが、今の玄米麺です。
一昨年の夏、その玄米麺を使って、井川さんは毎日のように和え麺を作っていました。
ナンプラーやニョクマム、醤油やごま油。
たっぷりの生野菜、あるいはさっと茹でた野菜やお肉。
黒酢やレモンなどの酸味に、ほんの少しの甘みや辛味を加え、特製のたれを仕上げて麺と和える。
そして、できあがった和え麺をスタッフに次々と食べさせてくれるのです。
そのときの井川さんの問いかけは、「美味しい?」ではなく、「どう? 重い? 軽い?」。
味はもちろんですが、「私たちの体にどう残るか」が、何より大切な評価軸だったのです。
私も、この麺の独特の食感と、体に負担のない軽やかさがとても気に入りました。
「この玄米麺、すごくいいね」──そんな声がスタッフの間で自然と広がり、正式にMAMEHICOで扱う方向へと動き出しました。
製造元に問い合わせて、MAMEHICO専用に作っていただけないかお願いしてみたところ、応対してくださった方の麺への思いが、電話越しにもひしひしと伝わってきました。
気がつけば、1時間近くも話し込んでいたほどです。
井川さんは、玄米であることにもこだわり、さらに麺の太さについても細かく調整を重ねました。
茹でやすく、たれがしっかり絡み、食べたときに満足感がある。
実際、同じ原料でも太さが違えば、味の印象はがらりと変わります。
目立たないようでいて、味の輪郭を決めるとても大切な要素です。
こうして生まれたMAMEHICOの玄米麺は、2022年の秋、御影と銀座の新店舗オープンに合わせて準備されていました。
けれど、実際に和え麺としてメニューに登場するまでには、そこからさらに一年の時間を要しました。
いまも井川さんは、「体に負担のない麺」への探求を続けています。
面白いのは、井川さん自身が、じつは麺があまり好きではないということ。
ちなみに、コーヒーも苦手です。笑
まだ味わったことのない方は、ぜひ一度、この玄米麺をお試しください。
