触れるものがつくる空気

こんにちは、MAMEHICO神戸・御影店スタッフの水野知帆です。

御影店では、お客さんが来ると、メニューと一緒にお冷やと布おしぼりをお出しします。
以前、井川さんが「お客さんが触れるものを大切にしたい」と神戸に来たときに話してくれたことがありました。
お客さんが触れるもの──それは、無垢の木材で作られた家具もそうですし、唇に触れるお冷のグラスもそう。
「カフェだから、美味しい飲み物や食事があればいいのでは?」と思っていた私にとって、この話はとても印象的で、「ここまでこだわるんだなあ」と思った記憶があります。
そして、おしぼりもまた、手に触れるもののひとつです。

おしぼりは毎朝、自分たちで、一枚一枚、折り紙のように巻いて用意しています。
広がらないように折るコツや力加減があって、さらに見た目も美しく仕上げようと思うと、これがなかなか難しい。一体何度やり直したことか…。

だからこそ、お客さんがそのおしぼりを手に取って、珈琲を飲む前にほっと一息ついている姿を見ると、心の中で「ヨシヨシ」と思います。
うんざりするほど暑い夏、メニュー表をめくる前に冷たいおしぼりで手を拭き、「あ〜、気持ちいいわあ」と声を漏らしている姿。
北海道育ちの私でも驚くほど寒い神戸の冬、暖かいおしぼりをカイロのように握りしめている姿。
席について間もなく、嬉しそうにしてくださるその表情を見ると、手間はかかるけれど、やっていてよかったなと思います。

そんなおしぼりも、毎日使えばだんだんへたってくるもの。
最近、新品に総入れ替えされたのですが、これがもう、触り心地が抜群に良い!
そして、使い終わったおしぼりを一枚ずつバケツで洗っているときでさえ、洗い心地が気持ちいい。
黙々とやっていた洗濯も、ちょっと楽しいものになりました。笑
触れるものひとつで、人の感情はこんなに変わるんだと、自分でも驚きました。

だからこそ、手に触れるものひとつひとつに気を配ることが大切。
おしぼりから始まる、いくつもの積み重ねがあって、MAMEHICOならではの空気が作られているのだと思います。
お店に来たときは、ぜひ手元から、そのこだわりを感じてみてください。