みなさん、こんにちは。MAMEHICO東京スタッフの草ヶ谷美香です。
今年も、秋の定番デザート「カンボジアプリン」が始まりました。
ほっくりとしたかぼちゃをじっくり蒸して甘みを引き出した、濃厚なプリンです。
このカンボジアプリン、かつてはMAMEHICOの畑で育てたかぼちゃを使っていました。
北海道・千歳に1ヘクタールの畑を借りて、お店で使う豆やかぼちゃを自分たちの手で育てていたのです。
畑仕事ができるのは霜の降りない季節だけで、毎年5月に種をまき、ちょうど今ごろの9月後半に収穫を迎えていました。
かぼちゃの収穫作業はまるで宝探しのよう。
大きな葉をかき分けると、その下にひっそり実ったかぼちゃがあり、1つひとつ手で収穫していきます。
東京からお客さんにも手伝いに来てもらい、一斉に収穫するのですが、大人たちが夢中で取り組む畑仕事は日常とは違う時間。
みんなで本気で楽しんでいたのを覚えています。
「これは仕事じゃないんだからさ、真剣にやろうよ」
井川さんがいつか口にしたこの言葉も、とても印象に残っています。
収穫したかぼちゃは、その日のうちに煮て食べてみるのですが、採れたては水分が多く、味がぼんやりしています。
そこで「風乾」といって、風通しのよい場所で秋風に当てて寝かせてからお店に運びます。
時間をかけて水分が抜けるうちに、甘みと旨みがぎゅっと凝縮されていくのです。
野菜というと「収穫したてが一番!」と思われがちですが、かぼちゃは時間を置くことでおいしくなるもの。
畑に通う中でそのことを学び、実際に味わいが変わっていくのを食べながら実感しました。いままで知らずに通り過ぎてきたことを体感して学んだ、大切な発見のひとつです。
東京から何度も北海道に通い、収穫したかぼちゃを段ボールに詰めて何箱も宅急便で東京に送りました。
かかったコストだけを考えれば、作るより買ったほうが安上がりだったかもしれません。
でも、その時間の中で育まれたお客さんとのつながりや、そこで得た経験や知識は、関わった私たちの中に今も息づいています。
それはお金には代えられない、かけがえのないものだと感じています。
コロナをきっかけに「ハタケマメヒコ」の活動は一区切りを迎え、ここ数年は北海道の農家さんから送っていただいたかぼちゃでプリンを作っています。
それでも私にとってカンボジアプリンは、ただのデザートではなく「ハタケマメヒコ」を思い出させる特別な味。
夏の風に揺れる青々とした葉と黄色い花、秋の収穫後に倉庫にずらりと並んだかぼちゃ、スタッフやお客さんと汗を流して過ごした時間…。そのすべてが、今も鮮やかによみがえってきます。
そして、そんな畑での経験が忘れられなくて、今は場所を群馬の紫香邸に移し、その庭づくりに携わっています。
畑のときと同じように、この秋からはお客さんにお手伝いを募って遠足を開催し、一緒に汗を流しながら、紫香邸らしい庭になるように少しずつ作業を進めていきます。
場所も形も変わりましたが、またこの庭づくりを通じて、みなさんと過ごす時間がかけがえのないものになっていくような気がして。
今からわくわくしています。

紫香邸 庭づくり遠足
10/18(土)19(日) 11/8(土)9(日) 12/13(土)14(日)
10:00〜17:00



