MAMEHICO東京メンバーの永井宏佳(ひろし)です。
気づけば、舞台に立つようになって5年が経つ。
40過ぎてこんなことを始めるとは、まったく思っていなかった。
演劇なんて興味もなかったし、正直ちょっとカッコ悪いとすら思っていた。
昔から一歩を踏み出せずにいたとか、感動的な作品に出会ったとか、天才に出会ったとか。
そんな語れるような素敵エピソードも、ぜんぜんない。
それなのに…、これはもう偶然としか言いようがない。
「うぉぉぉお、芝居やってみてぇぇぇ!!!」
そう強く思った日があった。それだけだ。
その日は友人と余興の出し物を考えていた。
いいアイデアが出てこず、もんもんとした時間が流れていた。
「即興芝居なんてどうだろう」
誰かがそう言い出した。
正直、ぼくはあまり乗り気ではなかった。
でも、いざ始まってみると──
なにこれ、すっごくいい。
演技がうまくて驚いたわけではない。
というか別に、うまいわけでもない。
いや、そんなことより、こいつらめちゃくちゃ楽しそうじゃん。
文字で書くと伝わりづらいんだけど、とにかくすごく楽しそうだったんだ。
ぼくはそれまで「芝居をすること=恥ずかしいこと」だと思っていた。
いい年の大人が、役になりきって演じるなんて。
でも、あのときぼくはときめいていた。
大人が子どもみたいに、ごっこ遊びを本気で楽しんでいる。
それを見て、心底うらやましいと思った。
今までいろいろ間違えて生きてきたんじゃないか、とすら感じた。
何しろぼくは、戦隊モノを見ながら丸めた新聞紙を剣に見立てて遊ぶのが大好きな子どもだったのだ。
お芝居がやってみたい。
あのように楽しそうに、ごっこ遊びをしてみたい。
ぼくも恥ずかしがらずに、子どもみたいに遊んでみたい。
それから数ヶ月後、知人からの紹介でMAMEHICOの門を叩いた。
なにやら、ここには素人でも芝居に出してくれる物好きがいるらしい。カフェなのに。
そこにいたのは、ぼくが想像していた以上の物好きだった。
カフェのオーナーをやりながら、演劇を作ったり歌ったりしているらしい。
それから5年間、ぼくは舞台に上がり続けることになる。
昼は郵便局員。
夜はコック、清掃員、学者、人殺し、などなど。
ぼくはアートの才能なんてまったくないし、運動神経もよくない。
口だけ達者な郵便局員だ。
芝居について考えたこともなければ、舞台を観に行ったことすらなかった。
それでも、お芝居は楽しい。
上手いかどうかはさておき、楽しい。
あのとき見た光景は嘘じゃなかった。
芝居をやるようになってから、日常もちょっと舞台の上っぽい感覚で生きている。
いちいち深刻になるようなことじゃない。
なんだか全部、ちょっとしたエンターテイメントみたいに思える。
MAMEHICOは今も、これからもエンタメの場を作り続けている。
それは芝居好きのための芝居ではなく、普通に苦しんで、普通に楽しんで生きる市民のための場だ。
ぼくの目の前に突然舞台が訪れたように、ある日偶然、あなたの前にも舞台が差し出されるかもしれない。
上がるか、上がらずに観客として見ているかは、あなた次第だ。
経験も、年齢も、センスも関係ない。
上がるか上がらないか、それだけ。
3月14日(土)、MAMEHICO銀座にて、若手演者の登竜門「面白可笑ひこ」が開催される。
若手といっても、若い人という意味ではない。
舞台に上がった日が最近、というだけだ。
そして現在、MAMEHICOのエンタメ塾「面白可笑ひこ学校」の募集も行っている。
3月14日の出演者は、その生徒たちだ。
イベントを観に来て、上がるべきか、見ているべきか。
自分の心と相談してみてください。
表現力とは、経験やスキルではなく「培養してきた葛藤の量」だと思う。
長く芝居をやっていたから上手いわけではないところが、たいへん民主的だ。
ぜひご参加を。

面白可笑ひこ
2026年 3月 14日(土)
昼 12:00 OPEN/13:00 START
夜 16:00 OPEN/17:00 START
MAMEHICO東京・銀座にて

面白可笑ひこ学校 梅雨
2026年 4月 15日(水)エントリー締切



