丁寧を続ける

こんにちは。MAMEHICO紫香邸スタッフの原幸子です。

私は東京に暮らしながら、毎週桐生に通っています。
前日の夕方か夜に駅に到着し、翌日の営業に備えてお店を整えながらキッチンの仕込みを進めます。
眠い目をこすりながら、翌日のお食事の準備をひとつずつ進めていくのです。

先日、モーニングを召し上がったお客さまがこう言ってくださいました。

「モーニング、とても美味しかったわ!特にお味噌汁の香りがよくて。大きめのお椀だったから飲み切れないと思ったのに、気づいたら空になっていたの。」

とても嬉しかったです。
私自身も、はじめてMAMEHICOのお味噌汁をいただいたときに同じことを思ったのを思い出しました。

このお味噌汁の出汁は、もちろん顆粒ではなく、いりこと昆布でとります。
より澄んだ味わいにするため、いりこの腸わたをひとつずつ丁寧に取り除き、いりこと昆布を量って半日以上水に漬けておきます。
ここまでが夜の仕事です。

翌朝、いりこと昆布の旨味がたっぷり出たものを一度沸かし、10分ほど冷ました後、別の容器に濾し入れます。
それを冷凍してストックしておきますが、お味噌汁1杯に1欠くらい使うので、意外とすぐになくなります。笑

また、お味噌汁には青菜のゆで汁を使います。
朝一番で青菜を茹でておき、その茹で汁を加えると、独特の旨味が良い仕事をしてくれます。
今の季節なら小松菜やほうれん草、夏ならトウモロコシの茹で汁やオクラでも美味しいです。

ご注文をいただいてから、茹で汁と出汁を合わせ、手作りの味噌を濾しながら溶きます。
濾すことで口当たりがやわらかく、すっと飲みやすくなるのです。
味噌をあらかじめ入れておき、温めて出せば楽ですが、それはMAMEHICOではNGです。
沸騰させてはいけない、と教わりました。
理由は香りがまったく違ってしまうから。

MAMEHICOに出会う前、私が飲んできたお味噌汁は、味噌を入れて煮立てるものばかりで、「味噌汁は塩辛いもの」という印象でした。
だから、はじめてMAMEHICOでお味噌汁を飲んだとき、その香りとやさしい味わいに本当に感動しました。

味噌は発酵食品です。
酵素や乳酸菌など体にうれしい栄養がたくさん含まれていますが、高温には弱く、ぐつぐつ煮てしまうと風味も栄養も失われてしまうと知ったのも、MAMEHICOに入ってからのことでした。

商売なのだから、もっと効率的な方法もあるはずです。
でも、世の中の流れに逆らってでも、「普通のことを普通に」続けようとするMAMEHICOの姿勢に、私は惹かれました。
今はそれが当たり前のこととして日々の仕事に向き合っていますが、あらためて思うのです。
なんでも簡単に手に入る時代だからこそ、手間をかけることに意味があるのだと。

 

モーニング和定食
8:00〜11:00まで
MAMEHICO紫香邸にて